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「反省が見られず」黒田剛監督と町田にけん責処分。暴言・排除発言をJリーグが認定

町田の黒田剛監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

選手を「造反者」呼ばわり、コーチへ大声で怒鳴る、懇親会で暴言も…。管理監督体制の不備を重く判断。

 Jリーグは12月23日、FC町田ゼルビアの黒田剛監督とクラブに対し、規律違反があったとして「けん責(始末書をとり、将来を戒める)」の懲罰処分を科すと発表した。

 発表によると、対象となった事案は2023年頃から継続していたもの。黒田監督が選手らの前で、自身の意向に沿わない選手を「造反者」と表現して排除する意図を持った発言を行ったほか、練習中に選手やチームスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、さらに懇親会の場でスタッフに対する暴言など、不適切な言動が認定された。

 これらの行為は、JFA(日本サッカー協会)の「指導者に関する規則」および「懲罰規程」、ならびにJリーグ規約が定める選手・スタッフの尊厳を尊重すべき義務に違反すると判断。社会的規範を尊重する義務にも反し、Jリーグの信用を毀損した点が問題視された。

 またJリーグは今回、クラブ側の責任も重く認定した。町田は配下の監督や関係者が規程に違反しないよう管理・監督する義務があるにもかかわらず、黒田監督の言動を早期に把握・是正する体制が整っておらず、内部統制に明らかな不備があったと結論付けられている。

 懲罰量定にあたっては、暴力などの有形力の行使は含まれていない一方、黒田監督が違反行為の存在を基本的に認めず、真摯な反省が見られなかった点も指摘された。さらに、調査過程において、チーム関係者が真実を語ることを躊躇しかねない発言があったことも、重く受け止められている。

 町田は独自に弁護士で構成する特別調査委員会を設置していたが、当初のヒアリングにクラブの顧問弁護士を同席させたことや、監督とヒアリング対象者とのやり取りを規制しなかった点について、Jリーグは「調査対応の不備」と指摘。クラブが黒田監督を守ろうとしているとの印象を関係者に与え、真相解明に支障をきたしたとした。

 加えて、強化部やコーチらが同席する場で問題行為が行われていたにもかかわらず、経営陣や強化部から監督への注意やけん制が行われず、外部への通報がなされるまで問題が放置・継続された点も、処分理由として明記された。

 一連の経緯のなかでは、監督からの強い言動や深夜の連絡などを受け、クラブスタッフが休職に至った事案も背景にあった。Jリーグの判断は、単なる指導の範囲を超えた不適切行為と、それを許容したクラブ体制そのものに警鐘を鳴らすものとなった。

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 町田は公式声明で、「本件は監督個人の問題にとどまらず、クラブとして適切な管理・監督体制を構築できていなかったことに起因する」として謝罪。指導体制および組織運営の在り方を根本から見直し、ハラスメントに関する相談・通報体制の再構築と再発防止に取り組むと表明している。