【新オフサイド】ベンゲル提唱の新ルール、カナダで試験も延長困難か。判定54%減も守備ラインは3メートル後退
レフェリー (C)SAKANOWA
IFABが試験結果を検証。13ゴール増も、守備への大きな影響が課題に
国際サッカー連盟(FIFA)のグローバル・フットボール・ディベロップメント部門責任者を務めるアーセン・ベンゲル氏が提唱した「新オフサイドルール」について、カナダでの試験を延長することは難しいとの見方が浮上している。国際サッカー評議会(IFAB)は現地10月27日、諮問委員会で試験結果を検証したと発表した。
この新ルールは「デイライト・オフサイド」と呼ばれるものだ。
現行の競技規則では、相手陣内にいる攻撃側の選手の頭、胴体、足の一部が、ボールと相手の後方から2人目の選手よりゴール側に出ていると、オフサイドポジションと判定される。
一方、新ルールでは、攻撃側の選手の体の一部でも守備側の選手と重なっていればオンサイドとなる。体全体が相手選手より前に出て、両者の間に完全な隙間ができて初めて、オフサイドポジションと判断される。
攻撃側に有利な変更によって、際どいオフサイド判定を減らし、得点機会を増やすことが狙いだ。
このルールはFIFAとIFABの協力のもと、4月に開幕したカナディアン・プレミアリーグ(CPL)で、プロリーグとして世界で初めて本格的に試験導入された。
イギリス公共放送『BBC』の10月27日付報道によると、IFABのサッカー諮問委員会と技術諮問委員会に示されたデータでは、従来のルールと比較してオフサイド判定が54%減少。112試合で13ゴールの増加につながったという。
しかし、懸念された守備側の対応も数字に表れた。守備ラインが約3メートル後退したというのだ。
攻撃側の選手が相手DFより大きく前に出てもオンサイドになるため、守備側は背後のスペースを消そうと、最終ラインを下げて対応したとみられる。
カナダのリーグ公式サイトでも、試験開始前から守備戦術への影響が議論されていた。FCスプラ・デュ・ケベックのFWダビド・シュワニエールは、攻撃側が早めに走り出せる利点を挙げる一方、守備側がラインを下げるのか注目していると語っていた。
実際、4月18日のパシフィックFC対ハリファックス・ワンダラーズでは、新ルールによって従来ならオフサイドとなる得点が初めて認められた。パシフィックのアレハンドロ・ディアスが、守備側の選手と体の一部を重ねた位置からゴールを決めている。
一方、CPLでは今回の試験と併せて、監督が判定の映像確認を求められる「フットボール・ビデオ・サポート(FVS)」も導入した。判定を補助する仕組みも用意されたなかで、ルール変更の効果と課題が検証された。
『BBC』は27日の諮問委員会で新ルールへの支持が広がらず、試験の延長は難しい情勢になったと報じている。
ただし、IFABの同日付の公式発表は、カナダでのオフサイド試験について報告を受けたとするにとどまり、延長の可否や中止を決定したとは明らかにしていない。
IFABは、すでに導入された競技規則の変更に各国が対応している状況を踏まえ、2027-28シーズンに向けた新たな変更を最小限に抑える方向で議論している。
次の重要な協議は2027年1月14日、スイス・チューリヒで予定されるIFABの年次事務会議だ。
オフサイド判定を大幅に減らす効果は示されたものの、守備側が大きくラインを下げれば、攻撃的なサッカーの促進という当初の狙いにも影響しかねない。ベンゲル氏が目指すオフサイドの抜本的な改革は、世界的な正式導入に向けて、難しい局面を迎えている。
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