【浦和】柏木陽介が仲間を信じて辿り着いた日本一の頂点「苦しい時間のほうが長かったけれど」
天皇杯優勝を果たした柏木陽介(左)と宇賀神友弥。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
掲げたトロフィー。みんなに助けてもらった結果だと強調。
[天皇杯 決勝] 浦和 1-0 仙台/2018年12月9日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズのMF柏木陽介はベガルタ仙台との決勝で1-0とリードした62分までプレーして柴戸海と交代し、優勝の瞬間をベンチで見守った。優勝決定のインタビューでも「何もできませんでした、すいません!」とサポーターに謝っていたが、彼もケガを抱えていた6人の中の一人で、大腿部に違和感を抱えながら戦っていた。
「なかなか自分の思ったようにはいかなかったですけれど、みんなに助けてもらって良かったです。最高です。
ケガを最後にしたくなかったというのはありました。最後は太腿の裏がヤバイなと思いながらプレーしていたので、監督に伝えました。
これで俺が無理して頑張ってチームに迷惑をかけるよりも、フレッシュな選手が入って頑張れたほうがいいかなと判断しました。逆にチームを信じて、それに懸けました」
浦和がリードを奪い、試合の流れも決して悪くない。行ける――という空気を感じたことで交代をした。
「最後の10分間は相手がボールを持つ時間が増え、『今はまとまる時間だ』と(興梠)慎三に声を掛けて伝えました。ただ、それでもやられる気はしませんでした」
浦和にとっては3年連続の主要タイトル獲得(16年ルヴァンカップ、17年アジアチャンピオンズリーグ)となる。そして今季キャプテンに就任した柏木は初めて、優勝セレモニーで選手たちの中央に立ってトロフィーを掲げる大役を務めた。
しかし一方で、彼は来季への課題も痛感していた。
「正直、シーズン終盤、内容的に良かったと言える試合はなかったのではないか。それでも勝ち切る強さを身につけ、何より必要なタイトルを獲ってACLの出場権を得られた。苦しい時間のほうが長かったけれど、一人ひとりがそこを我慢して勝ちにこだわって戦った結果だと思います。チームとして、一つ成長できたと思います。プラス来年、自分たちの良さを出していければと思います」
苦しい時間のほうが長かった――それは柏木自身にも言えることだった。キャプテンとして、そして浦和の10番として、シーズン序盤に思い悩んだ時期もあった。さまざまな困難を仲間たちとともに乗り越えて、2018年最後は”日本一”の笑顔で飾った。
文:サカノワ編集グループ