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VARをJリーグで一部採用へ。1年前の大迫は「機械に裁かれている感じ」

5月の親善試合の日本対ガーナ戦でもVARが採用された。(C)SAKANOWA

アジアカップ初導入で吉田が得点取り消し、堂安がPK獲得。海外では「AVAR」などの養成も課題に。

 UAEアジアカップの準々決勝からVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が採用され、さっそく日本代表対ベトナム代表戦で活用された。

 24分、柴崎岳の左コーナーキックを吉田麻也がヘッドで合わせて押し込む。一旦はゴールと判定された。しかしインカムで情報をかわすUAEのモハンメド・アブドゥラ・ハッサン主審がVARでの確認を要求。ピッチ脇にあるモニターで確認し、吉田のヘディングで当てたボールが手に当たって決まっており、ハンドのファウルでゴールは取り消された。

 しかし55分過ぎ、今度は堂安律がドリブルで仕掛けた際、ペナルティエリア内で相手に足をかけられて倒れたように見えたが、一旦プレーは流された。プレーが途切れたあと、主審が再びVARに確認。後方からかかっている足によって倒れたと判断し、PKが与えられた。

 VARはここ数年で一気に定着した。

 ゴールの得点機やレッドカードにかかわる重大な判定について、別室に設置された複数の画面でVARとAVAR(アシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリー)が、リプレイ・オペレーターとともにチェック。そこからインカムで伝えられた情報をもとに主審が最終的に判断をくだす。

 オランダなどでテストが進められ、2017-18シーズンからブンデスリーガ1部とセリエAの全試合、ベルギーリーグの一部で採用。そして昨年のロシア・ワールドカップでも全試合で採用され、ゼロではないが重大な場面での誤審の多くは減ったという報告も上がった。

 そこからVAR採用の流れは一段と加速していった。今季はスペインリーグ、フランスリーグなどでも採用。

 ドイツでも当初、試合の流れが寸断されて、熱が一気に冷めてしまうなど課題は出た。ちょうど1年前、連敗ストップとなるはずのチームメイトのゴールをVARで取り消された1.FCケルン時代(ドイツにVAR導入直後)の大迫勇也は、「機械に裁かれているような感じがする」とも語っていた。

 そこからシステムは徐々に定着し、ビデオをチェックしたうえで最終的な判定が下されることで、選手と主審の判定に対するストレスはかなり軽減されているようだ。 

 一方、イングランドのプレミアリーグはクラブによる投票により、2018-19シーズンのVAR採用を見送る決断をしている(カップ戦では試験採用)。ちなみにドイツなどでは、AVARなど専門家の養成が課題となっている。

 そうした世界的な流れのなか、日本でも5月29日のキリンチャレンジカップの日本代表対ガーナ戦(登場機会はなかったが)、昨年12月のJリーグインターナショナルユースカップなどで試験的に実施してきた。

  そしてJリーグの2019シーズン、最大計14試合(ルヴァンカップ プライムステージ 全13試合=準々決勝、準決勝、決勝) 、J1参入プレーオフ決定戦1試合で採用される。

 VAR導入には、担当審判員のトレーニング、開催スタジアムでの事前テスト、FIFA(国際サッカー連盟)立合いの検査など各種要件を充足し、FIFAとIFAB(国際サッカー評議会=ルールなどを決定する機関)からの事前認可取得が必要とされている。

文:サカノワ編集グループ

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