多摩川クラシコ序章。明大MF安部柊斗が中村憲剛から感じた「止める、蹴る」の大切さ
ゴール裏からのチームメイトらの声援に応える明治大の安部柊斗。(C)SAKANOWA
本気で勝とうと挑んだ天皇杯。終盤、川崎のバンディエラと約30分間プレー。
[天皇杯 2回戦] 川崎 1-0 明治大/2019年7月3日/等々力陸上競技場
来季のFC東京入りが内定している(今季も特別指定で登録)明治大学のMF安部柊斗が天皇杯2回戦、川崎フロンターレ戦でボランチとしてフル出場し、物怖じしない力のあるディフェンスで潰し役としてピッチを奔走した。試合は0-1と最少失点で敗れたが、チームとしても高い集中力を保ち、リーグ連覇中の王者に中央から簡単に突破を許さなかった。
「来年からはライバルになってくる相手に対し、通用した部分もありました。僕たちは勝つつもりで来たので、負けてしまい、本当に悔しい結果になりました。持ち味であるボール奪取や運動量、前へ駆け上がる力は要所で出すことができて、そこは通用するのではないかと感じました」
Jリーグ王者の川崎に本気で挑んだことで、足りないものが分かった。
「ボール回しや一つのトラップ、パス……。受け手のどちらの足に出すかまでこだわっていたので、なかなかボールを取れなかったので、さすが上手いと感じました」
思い切ってボールを奪いに行くが、立ち上がりから追ってもかわされた。一時、かわされると分かってしまうことで、球際まで向かえなくなる時間帯もあった。ただ、そこからも修正を図り、41分には中央からドリブル突破を仕掛けてきた齊藤学に強烈なタックルを見舞った(判定はファウル)。
特別指定選手として登録するFC東京ですでにリーグ戦デビューも果たしており、周囲の期待値は高い。そして自身にとっては、今回、多摩川クラシコのプロローグであり、「だからこそ本気で勝つ気でいました」。
安部は手応えと悔しさを感じていた。
「J1で通用する選手になるためには、ここで誰よりも光ってずば抜けたプレーを見せないとと思ってピッチに立ちました。いくつかは出せましたが、トータルだとまだまだだなと思いました」
そして62分、交代出場で中村憲剛が久々に公式戦でプレー。安部も川崎のバンディエラと約30分、同じピッチに立つ機会を得た。
「少ない時間でしたが、止める、蹴る、というところが、素晴らしかったです。一緒のピッチに立つことで、日本を代表する選手だと改めて思いながらプレーしていました。サッカーの基本、止める、蹴る。そこが大事になるので、見習って向上していきたいです」
今年22歳になるダイナモの新星にとって、得るものばかりの90分になった。
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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI