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【湘南】曺監督の活動自粛、山田直輝が語る「不安」払拭した「一体感」

湘南の山田直輝。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

「今日の試合をやるまで、どうなるんだろうと思っていたところはあった」

[J1 23節] 湘南 2-3 鳥栖/2019年8月17日/Shonan BMWスタジアム平塚

 湘南ベルマーレ対サガン鳥栖戦、パワーハラスメント疑惑報道を受けての調査に伴い、曺貴裁監督が活動を自粛することになった湘南は、この日から高橋健二が代わって指揮。2点先取されたあとに松田天馬と古林将太のゴールで一旦追い付いたものの……90+5分に金井貢史に決められ、土壇場で勝点を失った。

 クリスランの負傷交代により81分から投入された山田直輝はこの夏、浦和レッズから期限付き移籍で加入したばかり(2015年から17年にプレー[当時も期限付き移籍]して以来の”復帰”)。中盤でボールを引き出して好機につなげたものの、ゴールを割ることはできなかった。

 山田は試合後、次のように振り返った。

「(この試合に向けて)特に自分の中での気持ちの変化や、チームの中での変化はなかったと言いますか、この今日の試合をやるまで、みんな、どうなるんだろうと思っていたところはあったはずです。

 どういう試合ができるのか。急きょ健二さん(が監督代行)になって、一体どれぐらいできるのか。自分たちが、どれぐらいできるのか。そういう気持ちが僕は少なからずありました。それがちょっと前半にみんなの足を重くした要因だったのかなと感じました」

 そうしたなかで徐々にリズムを掴んで2点を返した。一時はスタンド一体となった声援にも後押しされ、完全にホームチームが優位に立った。

「ピッチに入ってやるのは選手たち。それを吹っ切って、みんなでもう一度『一つ』になる。それができました。結果的に勝点ゼロに終わってしまいましたけれど、自分たちがやらないといけないことは見せられて、その不安な気持ちは、次はなく臨めるのではないかと思いました」

 山田もまた曺監督を慕って湘南に来た一人である。今回の指揮官の活動自粛を、どのように受け止めているのか。

「僕ら選手も正直分からない。調査の結果が出るまで、なんとも言えないといいますか。選手たちは、まだ(状況など)理解できていません。だから、まず調査を待つしかないです。その間、僕らは曺さんの築いてきたサッカーを続けることしか、湘南にはできないと思います」

 そのようにまず「湘南スタイル」にこだわるべきだと強調していた。

 そのなかで湘南の背番号10を担うことになった山田は、「自分の色を出そうというよりも、チーム一丸となって、その一部になってしっかり戦わなければいけないと思って臨みました」と言う。

「毎週試合は来るので、そこに向けて、いい準備をするだけです」

 何より結果=勝点が欲しかった……。ただ、戦っていけるはずだ、BMWスタジアムでの一体感のなか、その感触を掴んでいた。

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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI

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