ゼルビアが消える…なぜ新名称「FC町田トウキョウ」に変更するのか?藤田社長が語った課題と未来
町田の新名称とロゴの採用に向けて説明したサイバーエージェントの藤田社長。※サイバーエージェントのYou tubeオフィシャルチャンネルより
「TOKYO」のブランド力を生かしたうえで、「町田から世界へ」挑む。
FC町田ゼルビアのサポーターミーティングが10月11日、町田市内の大学ホールで行われ、オーナーを務めるサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏が登壇した。そのなかで藤田社長は町田の名称を来季から「FC町田トウキョウ」に変更すると発表した。チーム名から「ゼルビア」の愛称が消えることになった。その理由について、藤田社長がクラブの置かれた現状と課題、そして展望とともに語った。『You Tube』のサイバーエージェント公式チャンネルで、このミーティングの模様がアップされている。
2018年に経営権を取得する際の条件が、「東京」を名称に加えることだったという。そして、今回、新たなロゴとマスコットのデザインを発表するとともに、藤田社長は次のように説明した。
サイバーエージェントは、これまでJ1クラブライセンス取得のため練習場の整備に10億円を投資。さらなる人件費の増強も進めていきたいと考える。
しかしクラブとして収益を上げていくために、藤田氏は「投資に見合うチームにしていく、さらにJ1で戦っていけるチームにしていくためには、何としてもファンの数を増やさなければいけない。それが必須の条件になります」として、「ファン・サポーター=入場者数の増加」が最大の課題であると訴えた。
昨季の町田の入場者数はJ1とJ2の全クラブの中で、下から4番目の平均4915人。加えて昨季のチーム人件費が、下から二番目だった。今季はサイバーエージェントの資本が入り、少しその順位は上がったものの藤田氏は「それでもJ1のトップとは10倍、神戸とは20倍の開きがあります。人件費を増やし、ファンを増やし、経営を成り立たせるところを目指す。それが経営的使命になります」と強調した。
町田市の人口は43万人。周辺にはFC東京、東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、横浜FC、そしてSC相模原と競合するチームがひしめいている。そうした立地のなかで、首都東京に町田があるということを生かし、「マーケットの獲得は急務です。ただし、この人口の中で増やしていくのは難しく、首都にある町田を生かして、東京全域でマーケティングを展開し、世界に対する『東京ブランド』を活かしたい」と説明した。また、「投資をする際、『東京』をチーム名に入れることは外せないことでした」とも明かした。
そして1977年の創設時のエンブレムには、「TOKYO MACHIDA」という文字が入っていた。そういったことを踏まえ「FC町田トウキョウ」に名称変更することを決めたと発表した。
なお、Jリーグ全般でゆるキャラが多いなか、世界に打って出るためにも「思い切った変換が必要」として、カワセミのマスクを被ったヒーローを新たなマスコットにするとも報告した。
また、以下4点の説明があった。
・ゼルビアは社名で残す「株式会社ゼルビア」
・ゼルビーくんはスタジアムでのマスコットに。
・チームカラーは変えない。
・本拠地・町田からは出ていかない。
そして藤田社長は、「2021年にJ1参戦できる規模にし、2024年にはJ1優勝を争える規模にしたい。それを目指してやっていこうと思います。皆様には新しいファンの歓迎、開拓にぜひご協力いただきたいです」と呼びかけた。
そのあとのサポーターとの質疑応答では、チーム名から「ゼルビア」が消えることへの悲しみや憤りの声も挙がった一方、理解を示す意見も挙がった。
ビジョンについて藤田氏は改めて「TOKYO」を生かすことで、「町田から世界を目指す」という点を強調していた。
「町田から世界へ、世界に向けてリブランディングしていくうえで『東京』という言葉が有効であると考えています。世界を意識したもので、そこには外国籍選手の獲得を意識した点もあります。少なくとも現在の人件費の延長線上では厳しく、さらに上を見て、補強と体制を整えていきたいと思います」
当面は練習場の整備が優先される。練習場やクラブハウスが完成して選手を迎え入れられる体制が整えば、すぐにでも”補強”に動きたいということだ。
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[文:サカノワ編集グループ]