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【浦和】これは理不尽…ACL決勝アウェー戦直前に大物3連戦の超過密日程

浦和レッズ。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

決勝進出と同時に”罰ゲーム”のような大連戦に。中3日で時差6時間のサウジで大一番。

 Jリーグは浦和レッズのアジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出に伴い、浦和の30節から32節までの日程が確定したと発表した。

 当初11月9日(ACL決勝第1戦の日)に組まれていた31節のサンフレッチェ広島戦が10月29日に、同じく11月24日(ACL決勝第12の日)に組まれていた32節の川崎フロンターレ戦が11月5日に変更された。11月9日に組まれているACL決勝アル・ヒラル戦のサウジアラビアでのアウェー戦直前に、”大連戦”が組まれる形になった。

 当初から決まっていたとはいえ、Jリーグは日本からアジア王者を輩出し、世界にアピールしていきたいと意気込みを示すものの、当該チームへの日程面のサポートが十分とは言えない現状も浮かんでくる。

 昨シーズンの鹿島もACL決勝進出の決定によりJリーグの日程変更を余儀なくされた。すると、ACL決勝が行われている第1戦と第2戦の1週間のインターバルに、柏レイソルとのアウェーゲームがぶち込まれたのだ。

 そのため、11月3日・ACL決勝第1戦/ホーム→11月6日Jリーグ・柏戦/アウェー→11月10日・ACL決勝第2戦/アウェーという、何とも理不尽なスケジュールを強いられた。それを乗り越えて、鹿島は初のアジアの頂点に立った。

 昨季は1月からのアジアカップ、今季は12月中旬からのE-1東アジア選手権と日本代表の活動があることも大きく影響している。ただ、Jリーグ勢のアジア制覇を後押ししたい、力を最大限に引き出したい、と言える日程になっているとはさすがに言い難い。

 浦和は次のような連戦になる。

31節    10月29日(火)19:00 広島 vs 浦和 Eスタ 
30節  11月1日(金) 19:00 鹿島 vs 浦和(カシマ)
32節  11月5日(火) 18:30 浦和 vs 川崎 (埼玉) 
ACL決勝 11月9日(土) 未定  アル・ヒラル vs 浦和(未定)
ACL決勝 11月24日(日) 未定 浦和 vs アル・ヒラル(埼玉※予定)

 Jリーグとしては、今シーズンの日程のなかで考え得る範囲のなかで、最大限の配慮をしたと言えるかもしれない。ただ、逆に、Jリーグ勢のACL決勝進出を想定していない、とも捉えられて仕方ないカードの組み方になっている。ACL出場組の”おいしいカード”がいきなり、消化するために立て続けに並んだ。

 広島と鹿島を中2日で、しかも、いずれもアウェー。息つく暇もなく川崎戦を迎え、そして4連戦の最後、中3日で時差6時間あるサウジアラビアでのACL決勝がある――。さすがに、これには頭をひねる。

 日本サッカー協会( JFA )などとの連携も不可欠になるだろう。例えば――年によってはACL組は天皇杯で3回戦や4回戦以降の登場にし、ACL組同士のJリーグの対戦をその天皇杯開催週に組むことも可能か。また、このシーズン終盤の大事な時期に超過密日程になるのであれば、チーム作りを進めたいシーズン序盤やゴールデンウィーク中などに、もう1、2試合組むこともできる。

 もちろん、そんなことはすでに話し合われているかのしれない。また、平日開催は避けて週末に試合を組みたいというクラブの意向など、さまざまな立場が関わってくる。とはいえ、ACLは結局、そういった日程的を含めたあらゆるハンディさえも跳ね除けて、本気でアジアのタイトルを獲りたいというクラブ、浦和や鹿島のように情熱や誇りに任せてしまっている面も大きい。Jリーグは本来、その”理不尽”を少しでも取り除けるように、クラブをサポートすべきだ。

 2021年からはクラブワールドカップ( CWC )が4年に一度開催されることになった。まずは中国の上海で開催される。ACLの位置付けや開催方法も変わっていくことが考えられる。欧州UEFAチャンピオンズリーグのように決勝一発開催案も消えては浮かんでと検討されてきた。Jリーグはそういった流れにも、臨機応変に対応することが求められる。

 強いチームほど連戦になる。その理屈は、誰もが理解している。しかし、ACL決勝進出と同時に、罰ゲームのような過密日程が組まれるのだ。しかも、大事な決勝に向けてハンディを背負う(中3日で時差6時間の決勝)。それでも、選手たちは文句を言わず戦うはずだ。ただ彼らは明らかに理不尽を強いられている。

 Jリーグが本気でアジアと世界に打って出たいのであれば、現状について、仕方ない、で済ませるのではなく、どうすれば時間的問題について改善できるのか。もう少し本気で考える必要がある。

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[文:サカノワ編集グループ]

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