松本がJ2降格決定。肩を落とす反町監督「笑う時間の少ないシーズンにしてしまった」
松本山雅FCのサポーター。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
全チームがラストスパートをかけるなか、振り落とされる。
[J1 33節] G大阪 4-1 松本/2019年11月30日/パナソニックスタジアム吹田
J1リーグの松本山雅FCは33節のガンバ大阪戦で1-4と敗れ、1年でのJ2降格が決まった。J1・J2入れ替え戦枠の16位にいた湘南ベルマーレが勝ち、松本とジュビロ磐田の17位以下が確定したため。
4年ぶりのJ1のステージに立った松本だが、6勝12分15敗(20得点・39失点)で、全チームがスパートをかけたなかで最下位に落ちた。失点数は首位の横浜F・マリノスに次ぐ8位だが、得点数がダントツでワーストとなる20得点(17位磐田が28得点)。結果的に、昨季からの課題だった迫力ある攻撃を追求したものの、前田大然がポルトガルに移籍したあと補うことができなかった。
反町康治監督は試合後のフラッシュインタビューで、次のように試合を振り返った。
「後半最初の15分にあった何回かのチャンスを決め切れなかったのが、少し痛かった。(ハーフタイムに)前半3点取られましたけれど、後半の45分間でウチも3点取れる、という話をしました。実際、改めてファイティングポーズを取り、少し配置を変えて、それが奏功した部分もありました。しかし1点取るのが少し遅かったなというのが正直な感想です」
なんとか残留レースに食らい付いてきたが、全チームがラストスパートを仕掛けたところで、振り落とされた。そして33節、ついにJ2降格が決まった。
「厳しい状況であることは十分承知のうえで、このゲームに入りました。最終戦(湘南ベルマーレとのホームでのゲーム)まで持ち込めるように我々は休むことなく仕事をしてきたつもりではあります。残念ながらそれが適わなかったのは、我々の、それに私の力不足だと思っています。本当にすまなく思っています」
そして、クラブ全体でのさらなるステップが重要だと、8シーズン率いてきた松本に必要なことを説いた。
「やるべきことはやってきたつもりでいます。先ほど選手にも伝えましたが、一生懸命にやった結果だから、それをしっかり受け止めなければいけない、と。それは我々もそうですし、会社もそうかもしれませんし、選手もそうかもしれません。
ただクラブは永久に続くわけであり、この悔しさを受け止め、自分の課題をしっかり見つけ出して、前へ進んでいかなければいけない。非常に悔しい。その悔しさがあるから喜びもある。昨年とは真逆のような形になりましたが、クラブがもっともっと努力していかなければいけないということを教えられた1シーズンでもありました。
それは私も選手もそうですし、笑う時間の少ないシーズンだったかもしれませんけれど、しっかりやってきたことは間違いない。まだまだ力不足だと思われるかもしれませんが、それ(やるべきことはやったこと)についての後悔はありません」
試合のあと、松本サポーターからは拍手が贈られた。背中を押す熱い声援だった。
「本来はきつい言葉を持っている方もたくさんいらっしゃると十分承知しています。今日はホームのサンプロアルウィンでも、パブリックビューイングで応援してくれていると聞いています。ここに来る間にも、とにかく頑張ってくださいという声もいただき、本当に嬉しく、力強く思っています。こうして残念な結果に終わり、悔しいのは当然だと思うのですが、我々に愛情を注いでくれることに本当に感謝しています。
ただ、これに甘えず、真摯に受け止めて、やっていかなければいけないと思っています」
J2を勝ち抜くだけでも相当に難しいと言える戦力で、二度のJ1昇格を成し遂げたのは、間違いなく反町監督の手腕あってのこと。4年前とは異なり、最後の最後まで必死に食らいついてきた。ただ、指揮官の言うとおり、クラブとしての戦略や見通しの面で、やや甘さも感じられたようにも映った(例えば、選手補強、前田大然の2年連続、勝負どころでの代表チームへの派遣など)。
果たして反町監督は、来季も指揮を執るのか。クラブとして新たに舵を切るのか――。まずはホームでの最終戦、松本が34節・湘南ベルマーレと対戦する。
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[文:サカノワ編集グループ]