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Jリーグ「降格なし」決定の舞台裏。原博実氏が「日程」「公平性」の調整について明かす

Jリーグの原博実副理事長(2018年5月撮影)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

「例えば発熱の選手が数人出た場合、それでも試合をやろうというモチベーションにするためには」。4月3日再開は厳しいか…。

 Jリーグは3月19日、臨時の実行委員会を開いて、新型コロナウイルスの感染拡大と予防に伴い、2020シーズンのJリーグの全カテゴリ―で「昇格あり」「降格なし」の特例ルールを適用すると決定した。この実行委員会のあと、ウェブを通じたメディアブリーフィングが実施され、そのなかでJリーグの原博実副理事長が、自身の関わった二つのプロジェクト「大会日程」「競技の公平性」について詳しく語った。

 今回、4つのプロジェクトについて議論しあい、そのうえで村井満チェアマンが「昇格あり」「降格なし」の答申を出したという。その4つのプロジェクトは以下の通り。

1・来場者に安心・安全に観戦してもらうための環境整備
2・プロトコル作成と共有、各クラブ等の財務的プロジェクト
3・大会日程
4・競技の公平性

 その「大会日程」「競技の公平性」で中心になった原副理事長は次のように語った。

「『競技の日程』と『公平性』というプロジェクトに私は絡んでいましたが、この二つは切り離せず、両方を一緒にしながら考えてきました。

 競技の公平性の面であれば、例えばどこかのチームが急きょ無観客になった場合、そのチームだけが無観客試合が続くとなれば、どうするか。何試合までは受け入れるべきかなど、具体的なところに踏み込んでいくと、なかなか決め切れませんでした」

 そのように二つのプロジェクトを一つにして、検討してきたという。

「そして今、新型コロナウイルスの問題が大変ななか、何としてもJリーグを存続させ、Jリーグを維持し、クラブ運営を継続させていくために、少なからず不公平があっても試合をみんなでこなしていくことを考えた時、昇格は残し、『降格』の要件をなくすことを検討してきました。

 例えば、(試合直前など)主力2、3人が隔離されて試合ができないというクラブが出た時、それでも試合をしたい、試合を行ってほしいということを、みんなで共有していかないと。『ウチはできません』となると、全クラブが試合をこなせなくなっていきます」

 そして4月3日再開が「ギリギリ」のタイミングであることを強調した。

「(再開時期が)4月3日であれば、まだ何とかなるかな、というのはありますが、それが2週間後になると、さらに厳しい条件になります。そうなると、あるチームだけはずっとホームで試合ができず、アウェーが続くことも想定されます。これが公平かと考え出していくと、なかなか難しい状況になっていきますので、それを踏まえた上で、フットボール検討部会やJリーグの役員会、理事会で議論させてもらい、今年に限って、今は昇格はあり、降格がない、このシステムで戦っていってほしいということを、皆さんにも理解してもらい議論してきました」

 原副理事長はそのように経緯を説明した。

「簡単な決断でなかったことは各クラブの皆さんと話していても感じました。ただ、どうしてでもリーグ戦を成立させ、少々不公平でも試合をやるというモチベーションにするためには、細かい面よりここを共有して、それでもJリーグをやっていく。その形を作りたかったという提案をして、理解してもらいました」

 試合直前に中止が突然決定したBリーグの状況なども少なからず影響したと見られる。とはいえ、まだJ1とJ2は開幕1節を終えた段階であり、その決定が果たしてどのような影響をもたらすのか――。

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[文:サカノワ編集グループ]

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