イニエスタは大丈夫?同僚の酒井高徳がコロナ陽性反応、感染源の特定できるか?
神戸のアンドレス・イニエスタ。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
クラブは濃厚接触者の特定、練習施設の消毒などを実施へ。
J1リーグのヴィッセル神戸は3月30日、元日本代表DF酒井高徳に新型コロナウイルスの陽性反応が検出されたと発表した。同ウイルスの感染拡大が広がるイタリア、スペイン、イギリス(イングランド)などヨーロッパでは、チームの活動が中止されるなか、日本では無観客、報道陣との接触もなしで、普段通りのトレーニングが行われていた。ただ感染ルート不明者が増え、ここ数日、一気にリスクが高まるなか、5月9日のJ1再開を目指す方針下で、Jリーグの現役選手に最初となる感染者が報告された。
クラブは次のように、チーム内の状況と今後の対策を報告している。
「現在のところ、酒井選手以外の選手、スタッフで新型コロナウイルス感染症や風邪の症状等を呈している者はおりません。保健所の指導のもと、濃厚接触者の特定やトレーニング施設のいぶきの森球技場の消毒等の対応を行ってまいります。
なお、今後のスケジュールや調査結果に関しては、Jリーグ及び兵庫県、所轄の保健所とも連携し、適切なタイミングで公表をいたします。また、いぶきの森球技場の再開に関しても、選手、スタッフの健康状態を確認し、所管保健所の指導のもとに、運営の再開を予定しております」
また、酒井はSNSのインスタグラム(sakai_go1123)で、次のように胸の内を明かしていた。
「今回はサポーターの皆さんや一般の方々、Jリーグ関係者、全ての選手、スタッフ、その家族やご友人に不安とご迷惑をおかけしてしまうことになり、本当に申し訳ございません。皆さんが日頃から、一生懸命に予防や対策をされてる中、自分もプロフェッショナルという精神を掲げ仕事をしていることを自覚し、人数の多い場所に行かない、消毒や手洗いをする等、気をつかって生活をしておりました。しかしこのようなことになり、大変情けなく思っております。今、自分から発信できる事は、コロナウィルスは、本当にどこに潜んでいるかわからないという事です」
そのように2014年、2018年の2大会連続でワールドカップ(W杯)にも臨んでいる元日本代表DFは、何度も謝罪の言葉を述べている。
幸いにも「自分は体調も良く元気です」ということだ。いつでも誰でも起こり得るだけに、酒井に非はないと言える。ただ、元スペイン代表アンドレス・イニエスタ、ベルギー代表トーマス・フェルマーレン、日本代表の山口蛍らタレントの揃う神戸で、どれぐらい、いわゆる濃厚接触者がいたのか、そして他の選手・スタッフへの感染はないのか。そこは懸念されるところである。最近は練習試合も行われていたという。酒井に最初の陽性反応が出たとはいえ、感染源の特定も重要になる。
そしてこれまで「新型コロナウイルス対策連絡会議」をNPB(日本プロ野球機構)とともに立ち上げ、試合開催に向けた対策を練ってきたJリーグだが、その協議するスピードを超えて、現在、感染拡大が急速に進んでいる。村井満チェアマンを中心に、決定・決断のスピードをさらに早める(簡易にする)など柔軟性も求められる。
3月25日の段階で、4月25日にJ3再開、5月2日にJ2、5月9日にJ1再開を目指す方針が示された。しかし、その発表直後、瞬く間に日本国内の状況が悪化し、感染経路の不明者が増加。「再延期も仕方ないか……」という雰囲気も強まるなか、今回、酒井の感染が発覚した。Jリーグは、何より現役選手に感染リスクが高まっている点を深刻に受け止めたい。自宅待機が最大の予防になるという社会情勢のなかで、リーグ再開には、政府や自治体の「安全宣言」を待つなど対策の仕切り直しも迫られるか。
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[文:サカノワ編集グループ]