ハーツが食野亮太郎の退団発表。現状ではマンC復帰の「条件」は満たせず
ハーツでのプレーが決定した食野亮太郎(40番)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
2試合目で1得点・1アシストと活躍、リーグ通算19試合・3得点・1アシスト。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティからスコットランド1部のハート・オブ・ミドロシアンFCに期限付き移籍していた食野亮太郎が、1年の期限付き移籍を終えて退団することが決まった。ハートが6月1日にクラブ公式サイトで正式に発表した。
クラブによると、オーストラリア代表MFオリバー・ボザニッチ、コンゴ代表DFクレヴィド・ディカモナら7人が契約満了に。そして食野ら11人が期限付き移籍終了、あるいは(自チームでの)契約満了を迎えるという。クラブは「ハーツでの選手たちの努力に感謝するとともに、今後の健闘を祈っています」とメッセージを送っている。
海外初挑戦となった食野は、リーグ戦19試合(936分)・3得点・1アシスト、リーグカップ2試合(170分)・2得点を記録している。デビューから2試合目の5節・マザーウェルFC戦(●2-3)で1得点・1アシストを記録して脚光を浴びたものの、シーズン終盤は出番を減らした。
ハーツは2019-20シーズンはスコティッシュカップとリーグカップ、いずれも決勝進出を果たしていた(準優勝)。しかし今季はリーグ最下位に沈み、新型コロナウイルスの影響によりシーズン途中での終了が決定。来季は2部に降格する。
現実的には、食野のプレミアリーグへの“復帰”は難しい。今回同じイギリス国内ではあるものの有望な若手という「特例」によって、労働許可証が下りてプレーすることができた。
しかし、欧州主要リーグや代表チームでのプレー機会を中心に、事実上プレミアリーグでプレーすることを想定して定められている、外国籍選手のための労働許可の条件をクリアするのは極めて難しい。
食野であれば、1年間、日本代表として75パーセント以上の国際Aマッチに出場できていれば認められる(22歳以上になると2年間が対象に。また、FIFAランキング30位以内であれば60パーセント以上など順位によって変わる/日本は28位)。
この条件を満たせない場合、移籍金がプレミアリーグ基準の75パーセント以上(3ポイント)、または50パーセント以上(2ポイント)。選手のサラリーがプレミアリーグ基準の75パーセント(3ポイント)、または50パーセント以上(2ポイント)など。あるいは、欧州6大リーグやFIFAランキング20位以内の南米のチームで稼働可能な30パーセント以上プレーしている(1ポイント)、さらには代表の国際大会やヨーロッパカップ戦での出場数など……「ポイント制」の条件を満たさなければならない(そのうち5ポイント以上が必要になる)。
もちろんイギリス国内のハーツでプレーできたことはプラス材料に挙げられる。ただし、マンチェスター・シティでプレーするために「特例」が適用される可能性は極めて低い。飛び抜けた実績は残せなかっただけに、基本路線としては、他クラブへの再レンタル、またはJリーグ復帰、あるいはU-23(Bチーム)でのプレーが選択肢に入ってきそうだ。
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[文:サカノワ編集グループ]