浦和の禁止応援行為に村井チェアマンは「排除も場合によって必要」と厳しい考えを示す
オンラインでの記者会見に応じたJリーグの村井満チェアマン。(C)SAKANOWA
「多くのファン・サポーターの皆様が悲しい思いをされた。私は指笛を上手く吹けませんけれども――」
Jリーグは7月16日に第7回理事会を開き、実行委員会での決議事項を承認した。その後、Jリーグの村井満チェアマンらがオンラインによる記者会見を行い、メディアとの質疑に応じた。
その中で、一部観客動員が認められた12日の浦和レッズ対鹿島アントラーズ戦で、Jリーグが作成した新型コロナウイルスの感染予防対策のための観戦者に対するガイドラインで、応援行為の禁止事項に指定されていた指笛や声を出しての応援があったことが確認された。クラブも15日付けで公式サイトにて、Jリーグ関係者に対する謝罪のコメントとともに今後のガイドラインの徹底と再度の周囲を強調していた。
一方、Jリーグは浦和のみの問題ではなく、全クラブへの啓発が必要と判断。15日には木村正明専務理事から全Jクラブ社長宛に、ガイドライン順守を呼び掛けるお願いがされたという。
村井満チェアマンは浦和の事案について、次のように語った。
「多くのファン・サポーターの皆様が悲しい思いをされたのではないでしょうか。私は指笛を上手く吹けませんけれども、非常に多くの飛沫が飛ぶような状況で、その意味では、ファン・サポーター自らが、仲間のファン・サポーターを危険にさらすような行為だろうと思っています」
さらに厳しく指摘をする。
「本当に症状がない、自覚症状では健康であるものの、(新型コロナウイルスの)陽性であることは十分あり得るなかで、みんなが気を付けながら再開を望んでいたなかで、そうした行為が起こること。仲間のサポーターが非常に残念な思いをされたのではないかと思います。逆にその中で陽性反応が明らかになった場合、通常以上に濃厚接触者の解釈が拡大される懸念もあります。サッカーを愛する方では起こりえない行為だと、大変残念に思いました」
また、村井チェアマンは「クラブもJリーグとしても啓発を続けていきます。今回の感染対策は命令で改善できるものではなく、一人ひとりの理解と行動改善においてのみ実現できるもの。重ねてお願いしていくつもりです」と、協力を繰り返し呼び掛けていく考えを示した。
また、Jリーグのスタンスとしても、周知徹底を少しずつ進めることの大切さを訴える。
「このガイドラインそのものも出せば伝わるというほど単純なものではありません。我々が繰り返し啓発し伝える努力、責任を持っているものでもあります。これを破った、だからその時点でアウトという単純なものではありません。ただ、非常に人の生命であり、感染に関わる重要な事案をガイドラインにまとめています。スタジアムでご覧になる方々を明らかに危険にさらすような行為があれば、都度、厳正に対処し、そういった方々を排除することも場合によっては必要になるかもしれません。そういった努力をクラブとリーグが協力しながら対応していくべき事案だと思います」
村井チェアマンは同時に、そうした行為が続くようであれば「排除」も選択肢に入るという厳しい考えを示した。
とはいえ、様々な人が集まるのがスタジアムでもある。そういった禁止事項ばかりが表に出てしまうと、子供を連れた応援も当分の間は難しくなり、無闇な監視行為は想定外の「排除行為」につながりかねない。一方、観客動員が開始されたことで今から探っていく段階ではあるものの、スタジアム内でのそういった行為すべてが、本当に感染リスクがあるものなのか一つずつ検証してくことも必要だろう。
完璧な答えがないのが今回の感染症対策でもある。Jリーグが手探りのなかで進み始めた。
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[文:サカノワ編集グループ]