東京V高橋祥平の琉球戦での“蹴り”はレッドカードが妥当。審判への執拗な抗議は罰則対象か
東京Vのサポーター。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
交錯して転倒した上原慎也に対する行為で。DAZNにて深野悦子氏が詳しく解説、平畠啓史氏も「そこにお金は払っていない」と残念そうに語る。
[J2 9節] 東京V0-1琉球/2020年8月8日/味の素スタジアム
東京ヴェルディ対FC琉球戦の83分、琉球の右サイドからのクロスに対しFW上原慎也と東京VのDF高橋祥平が競り合い、二人は交錯したままピッチに倒れ込んだ。すると高橋が覆い被さっていた上原を左足で蹴り、先立圭吾主審は高橋へのイエローカードとファウルによるPKを宣告。このPKを阿部拓馬が決めて、琉球が1-0の勝利を収めた。DAZNの「Jリーグジャッジメント」でこの場面が取り上げられて、次の3点について説明があった。
◆上原のファウルはなかったか
◆イエローカードは妥当だったのか
◆なぜ8分間にわたる中断になったのか
その3点について、FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子氏が詳しく解説した。
まずジャンプヘッドを試みた上原にファウルはなかったとして、プレーを続行された主審の判断を支持。ただし高橋が相手を蹴った行為について、深野氏は「踏みつけるような行為。乱暴な行為になると思います」とレッドカードの対象である「乱暴な行為」にあたると説明した。
主審はおそらく高橋の行為を完全には確認できていなかったため、副審からのシグナルと説明を受け、確信を持てずにいたためイエローカードを提示したのだろうと解説。とはいえ「乱暴な行為」が反則の対象であれば、レッドカードにすべきだったということだった。
また、競り合ったあと笛が鳴っていないオンプレーだったため、「ファウルが起きた場所」である、高橋がファウルをしたペナルティエリア内でPKを与えた判定は間違いなかったとも説明があった。
一方、協議が長引いた理由の一つとして、東京Vの選手・スタッフの執拗な抗議もかかわっていたと指摘。エキサイトしているとはいえ、主審を「お前」呼ばわりする言葉や暴言がマイクを通じて拾われていた。試合終了後も抗議を続けた佐藤優平にはイエローカードが提示されている。審判団がいくつかの確認作業を必要としたため、深野氏は試合を円滑に進めるためにも「選手の協力も絶対的に必要でした」と語った。
番組に出演していたタレントの平畠啓史氏は「選手が感情的になって言いたい気持ちも分かりますが、エンターテイメントとしては見たくないシーン。それにお金を払っているわけではない」と残念そうに語った。原博実副理事長は「審判も相手の選手もリスペクトするのはJリーグが一番大事にしていること。現在お客さんが少ない状況で、音声も全部聞こえています。言っている自分も損をするし、見ている人も『なんで……』と思う。スポーツの根源でもあるところを大切にしてほしい。審判を囲んでいる全員にイエローカードが出されていても仕方がない状況だった」と厳しく指摘した。
Jリーグが定める「懲罰規定」の「チームによる違反行為」では、「同一チームの何人かの選手等が審判等に集団で詰め寄って、脅しをかけるような言葉や態度を用いた場合、又は、見苦しい抗議を執拗に繰り返し行なった場合、当該チームに対して罰金が科される」と記されている。罰金はJ1で50万円、J2とJ3で25万円と定められていることも説明された。
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[文:サカノワ編集グループ]