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【なでしこ】長谷川唯のパスに小林里歌子が合わせて。日テレと新潟L、ラスト10分の見応えある攻防の末

攻め込む東京Vの長谷川唯(右)と新潟の瀧澤莉央。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

味方を信じて誰よりも走ったイ・ヒョギンが先制。新潟が2点リードしたが……。

[なでしこL 4節] 日テレ 2-2 新潟L/2020年8月9日/味の素フィールド西が丘

 日テレ・東京ヴェルディベレーザがアルビレックス新潟レディースに2点先取されながらも猛烈な粘りで辛うじて2-2のドローに持ち込んだ。

 新潟は2連敗中ではあるもののいずれも最少点差の拮抗した試合を展開してきた。一方、日テレは開幕2連勝のあと、前節の浦和レッズレディース戦を0-1で落とし、連敗だけは許されない状況だった。

 日テレが立ち上がりからボールを支配して試合を進めるものの、“持たされている”印象が強い。新潟はしっかり守りながら無駄にボールを追わず対応しているが、防御一辺倒というわけではない。イメージの共有を図ったカウンターは、前掛かる日テレに対し効果的だった。

 27分、新潟の先制点はまさにそのカウンターから決まる。

 最終ラインで相手のパスをインターセプトしたイ・ヒョギンが、リターンパスを受けると一気に最前線へドリブルで駆け上がる。そこから右サイドに走る児野楓香を経て千野七海へ展開。千野のクロスにピタリと頭で合わせたのはイ・ヒョギョンだった。自陣から敵陣ゴール前へ。チームメイトを信じて誰よりも走り、ゴールへと結実させた。

 その後、新潟は追加点を挙げてリードを2点に広げる。しかし……日テレに押し込まれ防戦を強いられる。

 日テレも小林里歌子が持ち込むものの、平尾知佳のファインセーブに阻まれるなど、なかなか決め切れず嫌な雰囲気が立ち込める。

 60分過ぎまでは新潟の狙い通りと言える展開に。ただ、日テレも諦めていない。“秘策”を用意していた。

「15分で2点取って来いと、(永田雅人監督から)言われていた」と振り返るのはベレーザの小林だ。永田監督は62分に木下桃香、菅野奏音を投入、その後も宮澤ひなた、松田紫野とフレッシュなタレントを次々と投入し、こうした状況に備えていた。

 日テレはカウントダウンされる時間に焦りも見え始めていた。しかし猛攻に耐え続けてきた新潟の守備も限界に達していた。

 89分、日テレの遠藤純が相手の背後へ抜け出すと、GKの股を抜く技ありかつ豪快なシュートを決めて1点差に。すると、ここからホームチームの攻撃は、さらに勢いを増す。

 アディショナルタイムに突入した直後だった。抜け出した長谷川唯が、ゴール前を固めるDF陣ひしめく中央へマイナスのパスを放つ。これを小林が鮮やかに決めて、ついに2-2に追い付いてみせたのだ。ここまで跳ね返され続けてきた新潟ゴールを、わずか2分間で二度こじ開け、辛うじて勝点1を掴んだ。

 一方、新潟のイ・ヒギョンは「ラインを上げたくても、どんどん下がってしまった」と肩を落とした。

 最後の10分間、日テレはあらゆるポジションから、隙を見逃さずゴールにつなげようとしていた。遠藤は「ペナルティエリア内で足を振る回数が明らかに少なかった」と反省しきりだったが、「負けるよりは良かった」と前を向こうとしていた。

 勝ち越せなかった日テレ、守り切れなかった新潟。まさに痛み分けと言える。両者にとって、悔いの残るラストの10分間となってしまった。

日テレの宮川麻都(左)と遠藤純。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
先制した新潟のイヒョジョン(15番)。上尾野辺めぐみも歓喜!写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
シュートを放つ植木理子(左)と新潟の松原志歩。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
日テレの山下杏也加(右)と新潟の川村優理。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

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[取材・文・写真:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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