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【東京V】「複数の不透明な商取引」「過剰な経費利用等が常態化」新体制が昨今の報道に反論、旧経営陣5億円の赤字に対し改善策を示す

東京Vのサポーター。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

クラブ公式サイトで「東京ヴェルディを応援頂いている皆様へ」と題して。

 東京ヴェルディは12月25日、臨時取締役会を開いて、役員の辞任と新体制が決まったと発表した。代表取締役社長に中村考昭氏、代表取締役代行に森本譲二氏、取締役に石倉壱彦氏が就任。一方、羽生英之社長と他役員2人は同日付けで辞任した。

 また、クラブは同日に公式サイトに「東京ヴェルディを応援頂いている皆様へ」と題し、旧体制が行ってきたメディア報道に反論し、これまでの経緯と今後の方針を示している。

 内容は次の通り。

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昨今のメディア報道によりクラブサポーター、ステークホルダー、ヴェルディを応援してくださる皆様には大変ご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。改めまして、クラブよりこれまでの経緯と今後の方針についてご説明させて頂きます。

2010年、当時のクラブが経営危機を乗り越えるにあたり、以下の3つの柱をクラブの経営方針と致しました。

1)ユース、ジュニアユース、スクール等の下部組織の充実、および下部組織から昇格する選手を主軸としたトップチームの発展
2)サッカーだけにとどまらず、かつ、男子チームだけにもとどまらない、Jリーグ百年構想を代表する世界に誇れる総合型スポーツクラブとしての発展
3)未来を担う子ども、家族、友人など、世代や性別を超えてあこがれのチームとなる

また、同時に様々な企業からのご支援を賜る中で、ゼビオ株式会社(現ゼビオホールディングス株式会社。以下同社)からは、出資という形式ではなく、新株予約権にてご支援を頂きました。

なお、同社からの支援が新株予約権形式となった経緯は以下の4点となります。

1)経営陣に対する経営執行の自由度の確保をしつつ、経営戦略の策定や人的リソースの提供による運営サポート、並びにコンプライアンス、ガバナンス観点から経営の下支えを行う
2)同時期に経営支援に協力された他株主様に対するメリット創出
3)同社が全国各地に店舗展開し、サッカー以外にも広く多くのスポーツの発展に幅広く取り組まれていること
4)日本サッカー界において長い伝統と高いブランドイメージを持つヴェルディが、私的な支配欲、所有欲を発揮し、資金力をもってクラブ買収を達成しようと企図する対象が顕在化した場合には、その買収行為を阻止できること

しかし、大変残念なことに2016年頃より過大な事業計画の立案が先行するようになり経営が不安定化、そしてコロナに見舞われた2020年度の決算において約5億円、来年度予算は追加で5億円程度の赤字となる見通しとなりましたが、その要因としては下記の6点が挙げられます。

1)経営実力から乖離した売上計画をもとにした事業運営
2)目先の資金確保を目的とした若手選手の売却
3)計画性のない追加増資による債務超過の一時的回避
4)過剰な経費利用等が常態化
5)新型コロナウイルスの猛威による経営環境悪化リスクの放置
6)複数の不透明な商取引

更に、旧経営陣による新たな株式の大量発行や、株式発行条件の取締役会への一任など、クラブのガバナンスが脅かされる事態となりました。加えて、一部の役員による不平等条約締結によってその他株主が不利益を被る可能性が予見されるなど、クラブ経営を貶める兆候が顕在化したため、同社が新株保有権を行使することにより、この混乱を収束することとなりました。

この混乱収束に至る過程で旧経営陣がメディアやクラブサポーターへ誤った情報漏洩を行い、スポンサーを含む取引先やメディア、クラブサポーター、ステークホルダーの皆様に対しても無用な混乱を招く事態となりましたことを改めてお詫び申し上げます。

クラブの今後の経営方針にあたっては、2010年より掲げている3つの経営骨子に立ち戻り、新経営体制のもとで経営改善を推進してまいります。

東京ヴェルディはあくまでもサポーターや応援頂ける皆様のものであり、次世代を担う子どもたちに夢と勇気を与え、世界に誇れるクラブを一般社団法人東京ヴェルディクラブと共に目指してまいります。今後のクラブの発展に向け邁進してまいりますので、引き続き応援の程宜しくお願い申し上げます。

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[文:サカノワ編集グループ]

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