18歳の浦和GK鈴木彩艶、滑り込みの東京五輪代表入りはあるか?日本代表の西川周作からポジション掴んだ実力は“別格”
浦和のGK鈴木彩艶。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
川口能活以来のリーグ2戦連続完封デビュー。久保建英らとともに「金メダル」の先の世界がイメージできるタレント。
J1リーグ浦和レッズの18歳のGK鈴木彩艶が、J1リーグデビューから2試合連続の完封勝利を果たした。18歳でのリーグ初戦からの2戦連続無失点は、元日本代表守護神の川口能活以来ということだ。日本代表GK西川周作から今ここで一度ポジションを掴む形になったが(西川も黙っているはずがないが)、1試合ずつ実戦経験を積むたびに驚異的や進歩を遂げている。能力やエンジンは“別格”と言えるだけに、東京オリンピックへの滑り込みでのメンバー入りも期待される。果たして間もなく発表されるU-24日本代表の6月シリーズでの招集はあるのか? 森保一監督の“決断”はいかに――。
ルヴァンカップのグループステージ5試合で出場し、5月9日のホームでのベガルタ仙台戦でJ1デビューを果たした。すると立ち上がりに西村拓真との1対1でビッグセーブを見せ、終盤にはマルティノスのコントロールされたミドル弾を冷静に外へ弾き出す。慌てる素振りを見せることなく試合をしっかり終わらせた。
また、その試合後、オンラインによる取材では、仙台担当の記者から手倉森誠監督に「シュートが全てGKの正面に飛んでいた。どうすればもっと精度が上がるのか?」といった質問が出ていた。指揮官は「練習するしかない」と答えるしかなかったが、ただ“GKの正面にシュートが飛んでいる”という表現は、鈴木にとって、最大の誉め言葉であったとも言えただろう。
仙台のアタッカー陣がシュート態勢に入る、その前段階から鈴木は予測し、少しずつセーブの確率が上がるようにコースを切って詰めて行く。そして最終的に、自らの間合いに持ち込み、狙いどおり正面に蹴らせていた、と言えた。
何よりロングボールを確実にキャッチできるところも強みだ。日本代表クラスの選手であっても、セーフティにパンチングで切り抜ける、という守り方が主流を占めてきた。ただスペースのある最終ラインを含め、マイボールの時間をより増やしたいという傾向の中、競り負けずハイボールを確実にキャッチできる190センチの高さとパワーは見逃せない。
東京オリンピック日本代表(U-24日本代表世代)候補は、谷晃生(湘南ベルマーレ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、沖悠哉(鹿島アントラーズ)、若原智哉(京都サンガF.C.)ら、所属先でもレギュラーを務める守護神たちがしのぎを削る。GKとしての力は彼らと遜色はない。
もちろん、仙台、G大阪の選手も、鈴木の能力を見定めていたところもあったかもしれない。真価が問われるのかこれからだ、という声もあるはずだ。本人もコーチングの質を課題に挙げる。東京五輪本番に向けては、U-24日本代表のチームメイトとの連係に費やしてきた時間や経験も選考には大きく関わってくるに違いない。
ただその圧倒的な能力を考えれば……もしも吉田麻也らベテランのDF陣をオーバーエイジに加えるのであれば、鈴木を18人に加えていいのではないか。久保建英らとともに「金メダル」獲得の先に広がる世界を、十分イメージできるタレントの一人だ。
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[文:塚越始]