松本山雅と村山が謝罪、栃木SCも声明。SNSの投稿で誤解
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選手生命に関わる危険なプレーについて、「両クラブ間で話し合い、このようなプレーが再び起こらないようにしていくことを共有」。
[J2 15節] 栃木 3-0 松本/2021年5月23日/カンセキスタジアムとちぎ
J2リーグ15節、松本山雅FCのGK村山智彦が味方ミスキックでゴール前にこぼれたボールを倒れ込みながらキャッチした際、シュートモーションに入っていた山本廉に右足で激しく頭部を蹴られる事象が起きた。村山はその場にしばらく倒れ込み(チームドクターの治療を受け復帰)、主審から山本にはイエローカードが提示された。
この試合後、村山が自身のSNSのインスタグラムでこの件について投稿。「選手生命に関わる」明らかファウルで、「必死さとラフプレー」は異なるのではないかと疑問を呈した。しかし本来の意図とは異なる解釈が広がり、栃木SCに迷惑を掛けてしまったと、松本が公式サイトで、村山も改めてインスタグラムで「今回の件でご迷惑を掛けてしまった栃木SCの関係者の皆様、誠に申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
松本は次のように報告している。
「試合終了後の弊クラブ所属選手のInstagram投稿に関して、投稿内容の説明不足により本人の意図とは異なる受け取られ方が生じてしまい、様々なご意見がネット上に投稿いただいている他、両クラブ宛にもご意見をお寄せいただいております。
当該シーンは、栃木SCの選手が意図的に行ったことや監督の指示によるものでは決してございませんし、一部の方から栃木SC様、選手・監督にまで誹謗中傷が及んでおりますことは、私どもも本意ではございません。
栃木SCに関係する皆様に対してご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げますと共に、クラブとしましても、このようなことが起こらないように注意を払って参る所存です」
一方、栃木もこの件について公式サイトで声明を発表。冒頭部分は松本とほぼ同じ内容で、「両クラブともに反スポーツ的な行為やラフプレーが多い試合となりました。そのなかでの弊クラブ所属選手のプレーに対して、起きた事実に対しては真摯に受け止め今後改善できるよう努めて参ります」「危険なプレーは、一つ間違えれば選手生命に影響を及ぼしかねないものであり、試合終了後にマッチコミッショナーとの意見交換をはじめ、両クラブ間で話し合い、このようなプレーが再び起こらないようにしていくことを共有いたしました」と報告。両クラブが申し合わせたうえで発表した内容だと分かる。
そのうえで栃木は「試合後の松本山雅FC所属選手のSNS投稿で誤解を生んでおります、弊クラブ監督が指示したという事実は一切なく、選手のプレーも意図的なものではございません」と強調。「この投稿に関連して、クラブ・選手・監督ならびにその家族・関係者に対し事実に基づかない誹謗中傷が発生しています。このような誹謗中傷に対しましては、法的措置も辞さない体制で臨んでいきます」という立場を示している。
村山は問題となった投稿で、山本からはファウルが起きた時に謝罪を受けたと報告している。一方、「選手生命に関わる」ほど頭部を思い切り蹴っているにも関わらず、栃木のキャプテンがノーファウルだと主審に主張。田坂和昭監督の「体を張れ」という指示について、フェアプレーを尊重するという大切な一線を越えてしまっているのではないか? 「必死さとラフプレーは異なる」と不穏な空気を察し、警鐘を鳴らしていた。昨今のファウルを厭わぬプレーを認めるようなJリーグの傾向に一石を投じたのは、文脈からも読み取れる。
しかし、その投稿が意図しない形で広がってしまったため、松本と村山が謝罪する形となった。
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[文:サカノワ編集グループ]