内田篤人の視線の先にある世界。U-22日本代表の2連戦、ロールモデルコーチとして帯同
内田篤人ロールモデルコーチ。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
シュート練習をサポートする動きは軽やかで。
[U-23アジアカップ予選] 日本 4-0 香港 /2021年10月28日13:00/Jヴィレッジ
目深に帽子を被った内田篤人が向けた視線の先には、日本サッカーの未来を担う若き選手たちの姿があった。
爽やかに晴れ渡ったJヴィレッジスタジアム。2022年にウズベキスタンで開催されるU-23アジアカップの出場を懸けた予選を戦うU-22日本代表は、26日にU-22カンボジア代表に4-0で勝利。中1日でU-22香港代表戦を迎えた。
内田はこのU-22日本代表にロールモデルコーチとしてチームに帯同している。ロールモデルコーチという立場だけあって、試合前の選手たちのシュート練習をサポートする動きは軽やかだ。さらにコーチ就任から1年が経ったいま、指示を出す姿も様になってきた。
今回、冨樫剛一監督が率いるチームに招集された選手たちの中で、目に留まったのが郷家友太だ。第1戦はベンチ入りし、満を持して香港戦のピッチに立った郷家は、中盤やや後方から短長、緩急と多彩なパスを前線に供給。チャンスと見ればゴール前へと走り込み積極的にシュートを放った。
ただ、この試合での郷家のプレーで印象に残ったのは守備面だ。激しいボディーコンタクトで香港の攻撃の芽を中盤で摘んだ。ファウルも辞さないプレーにはプロとしての風格が漂い、勝負へのこだわりが見られた。
試合は藤尾翔太の2得点に、63分には郷家もゴール。細谷真大も決めて日本が4-0で勝利。2連勝でU-23アジアカップへの出場を決めた。
このチームにとってU-23アジアカップは成長への通過点に過ぎない。最終的に目指す場所はアジアの頂点に留まらず、さらに峻険な3年後のパリ・オリンピックであり、フル代表だ。
チームにはこれから多くの選手が招集されることだろう。そこで内田がコーチを継続するのであれば、彼らに影響を与えられることは何か。
それは世界での経験。ロールモデルコーチとして、技術はもちろんだが、日本人プロ選手のなかでも数少ない、内田自身が体験した世界で戦うための気構えだ。経験に裏付けされた本物の声はきっと若き選手たちの精神面の成長に役立つことだろう。郷家もより広い世界で戦っていける、その開拓へのチャレンジが期待される一人だ。
鹿島アントラーズで勝つことを宿命付けられ、日本代表、そしてシャルケ04と世界のトップレベルで戦い続けた。その内田が見つめる視線のさらに先、日本のヤングプレーヤーたちが世界の舞台で活躍する姿を、すでに思い描いているのかもしれない。
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[取材・文・写真:徳原隆元]