「100%レッドカード」試合開始45秒、危険な木本恭生の足裏タックルに家本氏が見解│柏1-1FC東京
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なぜ、VARが一発退場の可能性を伝えなかったのか? 「ちょっと分からない」
[J1 2節] 柏 1-1 FC東京 /2023年2月26日15:03/三協フロンテア柏スタジアム
J1リーグ2節の柏レイソル対FC東京戦は、パリ・オリンピック世代のエースストライカー候補である柏の細谷真大、FC東京のアダイウトンがそれぞれ前半にゴールを決めて、1-1で引き分けた。
この試合では、FC東京に6枚のカードが提示され、中村帆高が退場処分を受けるなど、アウェーチームのラフプレーがやや目立つ内容に。その開始45秒、ピッチ中央付近でボールを受けた柏のMF仙頭啓矢の右足に向けて、駆け上がってきたFC東京のDF木本恭生がスライディングタックルに行きファウルに。主審はイエローカードを提示した。
しかしVTRで見ると、このタックルは足裏を見せて振り上げて相手の右足に直接向かっていて、極めて危険であったことが分かる。またそのあと仙頭は木本と接触し、大きく転倒している。
ただVARと主審が交信したはずだが、VARの介入はなく「レッドカードの可能性」は伝えられなかったと見られる。
『DAZN』が2月28日に公開した「Jリーグジャッジリプレイ」でこのシーンが取り上げられ、元国際レフェリーである家本政明氏が詳しく解説した。家本氏は「僕の意見は100パーセント、レッドカードです」と一刀両断し、その理由を詳しく説明した。
イエローカードになった要因だが、主審がその接触の瞬間を後方から見ていて、仙頭の背中に被っていたことを一つに挙げた。また、そのあと仙頭が大きく転倒したことで、タックル以上に体の衝突のイメージがより強く残り、主審は木本が体全体で激しくチャージに行った――という印象を受けたのだろうと語った。
ただ、そこでこそ、VARの登場と言える。
なぜ、VARがレッドカードの可能性を伝えなかったのか? 家本氏は「ここはちょっと、分からないです。『これで入らないのか?』と思ってしまうところです」と首をひねった。主審はレッドカード相当のファウルではなかったと判断したことになり、「VARと主審がどのようなコミュニケーションを取ったのかは分かりませんが、運よく(仙頭の)右足への力が逃げたので(タックルの強度が)印象が下がったのかのかもしれません」と見解を示した。
ただし、この木本のファウル自体が、▼足が伸びている ▼スパイクの裏で向かっている ▼勢いがある ▼ボールに触れていない ▼空中のかなり高い位置まで足が振り上げられている――とあらゆる条件が揃っているため、相手選手を極めて危険にさらすプレーで、レッドカードが妥当だと指摘した。
家本氏は「なぜ『明白な間違いではない』と言わなかったのか? とは経験者として思うところです」とも語っていた。
また、ゲストで参加していた元日本代表の今野泰幸、清水エスパルスや大宮アルディージャなどで活躍した大前元紀の2人は、試合開始早々という時間帯も関係したのだろうとも選手目線で強調していた。
そのうえで家本氏は「Jリーグでこのようなシーンが起きないことを願います。もしも起きたとすれば、VAR、レフェリーが適切に対応していただきたい」と、選手を守るという大前提に立ったうえでの公正なジャッジを期待していた。