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【浦和】チアゴ・サンタナが語る4-3-3とのポジティブな相性。興梠慎三も「よりゴールを意識」

チアゴ・サンタナ。写真:石橋俊治/(C)Toshiharu ISHIBASHI

「最前線でラストマンとなれるようなポジショニングを常に心がけている」

 ゴール前ではストライカーとしての仕事に徹し、臨機応変に味方を生かすポストプレーへ切り替える。清水エスパルスから完全移籍で浦和レッズに加入したFWチアゴ・サンタナが、新天地の最前線で早くも大きな存在感を放っている。

「最前線でラストマンとなれるようなポジショニングを常に心がけている」

 サンタナが「焦れずに、それでいて動きすぎない」と語ったのは、1月25日のベガルタ仙台とのトレーニングマッチのあとだった。左サイドからのカウンターを発動させた松尾佑介のラストパスを沈め、最初の実戦形式で初ゴールをあげていた。

 2022シーズンにJ1リーグ得点王を獲得した、ブラジル出身の31歳は、ゴール前で複数の選択肢を持てていたことにも好感触を得ていた。

「松尾選手の非常にいい仕掛けでしたし、僕も彼を信じて走った結果がゴールにつながりました。ラストパスが来ても、松尾選手がシュートを打ったこぼれ球が来ても、どちらになっても準備をしていたなかで、松尾選手がいいパスを出してくれました」

 また1月14日の新体制発表会見で、浦和の田口誠代表取締役社長は今季の補強について、こんな言葉を残している。

「昨シーズンは最後のピースであったFWがなかなか埋まらず、スタートダッシュができなかった。今シーズンはその反省を踏まえて、いい補強ができたと思う」

 昨シーズン開幕直後に加入したギニア代表FWホセ・カンテが、チーム最多8ゴールをあげながら突然の現役引退を表明。ストライカーの補強が急務となった状況で「いい補強」と明言したのは、サンタナの存在を抜きには語れない。

 もちろんサンタナの個人技だけが、浦和への順応を早めているわけではない。ペア=マティアス・ヘグモ新監督が掲げる2枚のインサイドハーフを配置した[4-3-3]との相性の良さが、自身を最前線での仕事に集中させてくれるとサンタナは言う。

「どのようなボールが来ても、僕が準備をしていなければいけないポジションでもある。実際にボールが来た時には自分でシュートに持ち込む以外にも、自分がボールをキープして、前を向いている味方に落とすプレーも意識していた」

 新たなシステムで、指揮官は伊藤敦樹や関根貴大、小泉佳穂、中島翔哉、エカニット・パンヤらが務めるインサイドハーフにもゴールを求める。

 彼らが積極的にペナルティエリア内へ入ってくるからこそ、1トップもゴールにより近い位置でプレーできる。FW興梠慎三も「チーム全体に昨シーズンよりもゴールへの意識がある」と目を細めながら、ポジションを争うサンタナへ思いをシンクロさせる。

「全員が高い位置にいて、そこを起点に崩していくのはチームのコンセプト。横、横だけじゃなくて、真ん中から崩していくことでサイドも空いてくる。その意味では1トップとシャドー気味の2人のコンビネーションがすごく大事になってくると思う」

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 ヘグモ監督は1トップを担うストライカーに、最低でも20ゴールを期待している。開幕へ向けて「もっとコミュニケーションを取って、アジャストしていきたい」とモチベーションを高めるサンタナの存在が、昨シーズンの総得点がJ1リーグ7位タイの42にとどまった浦和で起こりつつある、ポジティブな化学反応の触媒になっていく。

取材・文/藤江直人

Posted by 藤江直人

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