【浦和】サポーター問題、主力選手の声「仕事を奪われた」「関係が親子のよう。クラブが親のように守っている」天皇杯の出場権剥奪を受けて…。第三者委員会の公開シンポジウム開催
浦和レッズ第三者委員会の公開シンポジウムが開催された。(C)SAKANOWA
3つのチームが報告。「男らしさの勘違い」という指摘も。
昨年の天皇杯・名古屋グランパス戦で起きたサポーターの暴徒化問題を受けて、浦和レッズ第三者委員会の公開シンポジウムが2月16日、さいたま市内で開催された。ファン・サポーターが来場するなか、第一部では8人の委員から「不適切行為の原因分析と過去のトラブル事案の整理」、「クラブの対策への評価と問題点の洗い出し」、「必要な対策の提言」について報告が行われた。このあと質疑応答など第2部が実施された。
武藤芳照氏が委員長、結城和香子氏が副委員長を担当。松瀬学委員、高橋義雄委員による『Aチーム』は「不適切行為の原因分析(過去のトラブル事案の整理)」、山本浩委員とヨーコ・ゼッターランド委員の『Bチーム』は「クラブが講じてきた対策についての評価と問題点の洗い出し」、望月浩一郎委員と竹村瑞穂委員による『Cチーム』は「今後の必要な対策の提言・検討」と、それぞれ分かれて報告を行っていった。
このなかで「Aチーム」は問題を起こしたサポーター、スタッフ、警備員、主力選手など計15人から、約18時間に及ぶヒアリングを実施。その様々な声を分析していき、「過剰な応援もありとなっている空気」、「新規サポーターへのマナーの徹底順守が図れずにいる」「遍愛」「男らしさの勘違い」といったワードを用いての指摘があった。また、サポーターの中からも「クラブがサポーターに甘い。なあなあではないか」という厳しい声もあったそうだ。このヒアリングの対象に名古屋のファン・サポーターは含まれなかったという。
そうした状況を象徴するように、主力選手からの次のような言葉が紹介された。
「クラブ、サポーター、選手は共に戦う同志である。互いにリスペクトし合い、切磋琢磨し合い、高みを目指している同志。ただ、クラブとサポーターの関係は親子みたいである。サポーターが規律違反を犯し、いろんなルールを破ると、クラブが親のように守っている」
そのような認識があると松瀬委員は選手の話を伝えた。
「規律違反に対しクラブへ罰金が科せられる、今季の天皇杯の出場権が剥奪された。それを受けて言っていたと思います」と松瀬委員は補足。そして、その主力選手からは「『天皇杯の出場資格剥奪によって、自分の仕事を取られた、奪われてしまった』と、そのように受け止めていました」という。こうした事態に、中学生のサポーターからは「選手に迷惑をかけないでほしい」という声も挙がったそうで、松瀬委員は「騒動を起こしたサポーターは絶対に忘れてはいけない」と指摘していた。
また、Bチームは「過去からその火はくすぶっていた」という背景があったと認識。Aチームに続き、サポーターがクラブより「パワーバランスがおかしい」という声が上がっていることも報告された。そもそも“暴れる可能性”を考慮して浦和がクラブとして対応せざえるを得ない状況に、「クラブの疲弊」も起きているという報告もあった。
さらに高橋委員からは、浦和は周期的にサポーターの問題行動が起きている点を指摘。一時は静まるのだが、4年ほど経つと再び問題行動が続くという指摘もあった。
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そして、Cチームの中からは「規定・法的整備」が欠落していると課題が挙がった。刑事告訴や損害賠償訴訟を実行力を持って進めていくためには、コンプライアンス部署の設置・取り組み強化・広報が必要であると提言があった。また、サポーター登録制度の提案も挙がった。