【鹿島】GKクォン・スンテのPK渾身セーブに内田篤人は「運じゃない」
鹿島アントラーズの(左から)クォン・スンテ、内田篤人、チョン・スンヒョン(ACL準決勝の水原三星戦より)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
触発し合うように、内田も調子を上げてきた――。
[J1 29節] 鹿島 0-0 川崎/2018年10月7日/県立カシマサッカースタジアム
鹿島アントラーズが首位の川崎フロンターレとスコアレスドローで終えた一戦、最大のハイライトはクォン・スンテが小林悠のPKを渾身のセーブで防いだ38分の場面だった。
「サポーターの声援を力に変えて、キッカーが蹴るまで時間を掛けさせることでプレッシャーを与えたいと思いました。(小林悠のPKは)最近の湘南戦では正面に蹴っていたので、その選択肢も頭に残しながら、ギリギリまで動かずに対応しました」
そう振り返った鹿島の守護神は、小林悠がシュートを放つ瞬間に横っ飛びし、左手をグッと伸ばして間一髪のところでセーブに成功。
その瞬間、今季二度目の観衆3万人超えとなったカシマスタジアムは、鹿島サポーターの燃えるような熱い拍手と歓声に包まれた。まさに心を揺さぶるような痺れるシーンだった。
1ゴール、いや、それ以上の価値ある1プレーを見せた背番号1の活躍ぶりに、右サイドバックとしてリーグ4試合ぶりに途中から出場した内田篤人は「運ではない」と言った。あくまでも普段の練習と彼の技術の成果だと強調したのだ。
「PKもあったけれど、スンテの技術。これまで何試合も(ピンチで)止めてきているからね。運じゃないよ、スンテ。あのプレーで『まだ、行ける』という雰囲気にしてくれた」
クォン・スンテの実力を高く評価する発言を繰り返した内田が、日本代表ストライカーとの対決を制したのは”必然”だと頷いた。
Jリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯、そしてアジアチャンピオンズリーグ(ACL)と、いずれも重要な試合が続く。まさに、「まだ行ける」とチーム全体を前向きにさせる、今季のターニングポイントにさえなるようなプレーとなった。
「ここから先が勝負」。内田はそう言って気持ちを引き締めた。
試合を積み重ねるたびに凄まじさを増すクォン・スンテ。その力が一段と必要とされる。そして互いを触発し合うように、内田が調子を上げてきたことも見逃せない。
鹿島がチーム一丸となって、ラストスパートに突入する。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI