クロップがリバプールで「厳しく指導しないほうがいい」と判断した2人とは?
リバプールでのユルゲン・クロップ。写真:ロイター/アフロ
ユーチューブでの2時間半にわたるインタビューで語り尽くす。
イングランド・プレミアリーグ リバプールFCの前指揮官であるユルゲン・クロップ(Juergen Klopp)がこのほど、ユーチューブの人気コンテンツ『The Diary Of A CEO』に出演し、2時間を超えるロングインタビューに応じて、自身の人生、リバプールでの戦い、レッドブルグループ・フットボール国際部門責任者としての今後について語った。
そのなかでクロップは改めて、リバプールをはじめ自身が指揮してきたチームについて次のように語る。
「私のチームはヘビーメタルのようなプレーをします。選手としてリュックを背負い、スパイクとユニフォームを持ってグラウンドに向かうなら、試合で全力を尽くす以外に時間を無駄にしないでほしい。試合で何かを得られる保証はありません。しかし、何かを得るチャンスがあるのは、最初から最後まで全力を尽くした時です。成功を掴みたいのであれば、今を惜しんではいけない」
1点を奪って守りを固める、1点を奪うために守備を固めて戦うスタイルもある。クロップはそれらを否定せず、「そういうチームもあります。残留争いをしていればあり得ます。しかしリバプールはもっと大きな存在です。全ての試合で勝利を目指し、楽しませなければいけない。なぜなら私たちは人々のために存在しているからです」と熱く語っている。
また、部下に同じように接することが大切だと言うトップ(経営者、リーダー)もいる一方、クロップは一人ひとり接し方を変えてきたと明かす。
「アルゼンチンで窓もないアパートの部屋で過ごしてきた選手もいれば、ミュンヘンで望めば何でも揃う生活をしてきた選手もいる。年代も異なります」と語り、そのうえでピッチで個々の持ち味を最大限に引き出す方法を常に考えてきたそうだ。
一方で、「様々な要求をすることで成長する選手もいる。逆に、絶対に厳しい要求をしないほうが成長すると判断した選手はいた?」との質問に、クロップは「サディオ・マネとモハメド・サラーだ」と、レッズのスーパーエース2人の名前を挙げている。
無論、リバプールで一緒に仕事を始めた当初、「彼らがあそこまで成長するとは多くの人が予測していなかったでしょう」と振り返る。就任後のクロップは、彼らに即時奪還からのショートカウンターを要求した。
「当時は今のような選手ではありませんでした。私は彼らとたくさん話しました。『たくさん勝ちたいだろ? 最大限の成功を収めたいだろ? イングランドで最高のチームになりたいだろ? そしたら、これをやろう。さあ行こう!』と」
そして年月が経ち、彼らのプレス強度は少なからず弱まっていった。そこでクロップは「厳しくは言わなかった」と振り返る。
だが、その“わだかまり”のようなものが、クロップ退任直前のウェストハム・ユナイテッド戦で、サラーが不満を口にする一因になった。ただこの点については、この日のうちに互いに話し合い、すでに解決していたという。
そうした発言からは試合中のミッションを理解して遂行しようとする遠藤航に、クロップが信頼を寄せていたことも伝わってくる。
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動画はRB大宮アルディージャの”ボス”でもあるクロップの半生と哲学が凝縮された、とても見応えのある内容になっている。