中村敬斗を獲得したリヨン率いるミシェル・カン会長とは? 韓国生まれ、米国で成功。女子サッカーにも巨額投資

ヨーロッパリーグの抽選会に出席した際のリヨンのミシェル・カン会長。写真:AP/アフロ

2026年6月に株式87.78%を取得。イーグル・フットボール・グループから独立し、男子チームの再建へ

 日本代表FW中村敬斗(Keito NAKAMURA)を獲得したフランスの名門オリンピック・リヨンの経営を担うのが、アメリカ人実業家のミシェル・カン(Michele Kang)氏だ。

 韓国生まれのカン氏は1980年代に米国へ渡り、シカゴ大学で経済学を学んだ後、イェール大学経営大学院で修士号を取得した。2008年には医療IT企業Cognosanteを創業。米国の政府機関や医療分野向けのIT事業を拡大し、実業家として成功を収めた。

 サッカー界では、特に女子サッカーへの投資で知られる。2022年に米国NWSLのワシントン・スピリットを買収すると、2023年にはフランスのOLリヨンヌ(旧リヨン女子チーム)とイングランドのロンドン・シティ・ライオネスの経営にも参画。女子サッカーの複数クラブを運営するマルチクラブ構想を推進してきた。

 2024年には米国サッカー連盟(USSF)に対し、女子サッカーと女子選手の育成などを目的に、5年間で3000万ドル(約47億円)を拠出することを表明した。女子スポーツへの投資と普及に積極的な人物として、米国だけでなく欧州でも存在感を高めてきた。

 カン氏がリヨンの会長兼社長に就任したのは2025年6月だ。ジョン・テクストル氏が経営の中心から退いたことを受け、リヨン史上初の女性会長となった。

 そして2026年6月26日、カン氏の買収会社Olympe Bidcoが、イーグル・フットボール・グループの株式87.78%を取得。買収価格は3000万ドルで、さらにリヨンに対して3100万ユーロ(約48億円)の株主ローンを直ちに拠出し、今後2シーズンで最大7100万ユーロ(約128億円)を投じることを約束した。

 この取引により、リヨンはイーグル・フットボール・グループから独立。カン氏がクラブの支配株主となり、経営を直接担う新体制に移行した。現在の株主構成でも、カン氏が管理するOlympe Bidcoが87.78%を保有している。

 リヨンにとって中村はクラブ史上初の日本人選手となる。女子サッカーを中心に世界規模で投資を続けてきたカン氏が、今度は男子チームの再建にも乗り出すなかで獲得されたのが中村だ。

 カン氏はリヨンを再び欧州サッカーのトップレベルへ押し上げることを目指している。女子サッカーで培ってきた経営手腕を、歴史ある男子チームの再建にどう生かしていくのか。そして、その新たなリヨンで中村敬斗がどのような役割を担うのか。

 なお、カン氏は買収完了後もリヨンの会長職を務め、マイケル・ゲルリンガー氏もクラブのゼネラルマネージャーとして経営に携わっている。

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