GK飯倉大樹が語った「ボンバー」中澤佑二の去った横浜の風景

横浜FMの飯倉大樹。新体制発表会では2019シーズンの新ユニフォームで登場。(C)SAKANOWa

「言葉なしで理解し合えた」。そして新シーズン、「勝つために戦術はある。それをみんな忘れてはいけない」。

 横浜F・マリノスのGK飯倉大樹が1月10日のチーム始動日、中澤佑二のいない練習場に「やっぱり、寂しいね」と素直な思いを語った。もちろん、これからキャンプを得て、「22番」がいない風景にも慣れていくだろう。2019シーズンへ、気持ちを切り替える意味でも、飯倉はボンバーへの感謝を語っていった。

「昨シーズン終盤、自分のプレーを含めてチームが落ち着いてきた時に感じたのは、言葉を掛け合うとかそれ以上に、プレーでお互いを理解できているなということ。それだけボンバーはサッカーに全てを注ぎ込んでいたから。だからこそ、言葉なしで理解し合えた。

『ボンバーはこうやりたいだろうな』ということもハッキリ分かる。俺の求めていることもボンバーは理解してくれていた。

 そういう言葉では表せない、いろんなものを彼はこのクラブに残してくれた。

 細かい守り方とかそういうことではなくて。井原(正巳)さん、マツ(松田直樹)さんと脈々と継いできたマリノスのディフェンスのDNAを、ボンバーは体現していた」

 アンジェ・ポステコグルー監督の就任した昨季は、攻撃により比重を置いたスタイルへの転換を図った。センターバックには最終ラインを高く設定し、細かいアップダウンを求められた。そのスタイルに40歳の中澤が貪欲にフィットしようと取り組んできた姿を、誰よりも近くで見てきたのが、ほかならぬGKの飯倉だった。

「サッカーのスタイルがガラっと変わり、ボンバーはケガもしたこともあり、キツイなかでプレーをし続けていた。でも、俺はボンバーがいると、やりづらさは感じなかった。やはり一流だよ。フィットしていく能力もすごく高かった。だから寂しいね、あのうるさい『ボンバー』がいないなんて」

 そして今年33歳になる飯倉は、新たなリーダーの台頭を待ち望む。

「20代後半の選手が引っ張り、それが土台になって積み上げていけるように、俺はサポートしていきたい。だから20代中盤や後半の選手にはキツイことを言うこともあるかもしれないけれど、そうやって発破をかけていきたい」

 一方、ポステコグルー体制2年目は、より「目的」を明確にして戦うとも強調していた。「勝利のために戦術はある」。それを前提に戦おうと強調していた。

「もう少し、昨年より今年は『勝負』に徹しないといけない。勝つために戦術があるということを、みんな忘れてはいけない。そこは伝えていきたい。自分たちのサッカープラス勝者のメンタリティを植え付けていかないと。それで俺が引退するまでには優勝したいな」

 昨季は「5レーン」理論と全員がボールに絡んで打開するスタイルが注目を集めた。ただ、それは勝つための最善の策でもあるはずだ、と飯倉は強く感じている。

 むしろ、飯倉はその新たな戦いを迎えることを楽しみにしもしていた。そして勝つことが、中澤に引退したことを安心させる、最高のプレゼントにもなる。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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