磐田の漢。大井健太郎のモットー「みんなにストレスなくプレーしてほしい」
磐田の大井健太郎。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
復帰後2試合フル出場。守備の安定感をもたらす。
[J1 12節] 磐田 – 仙台/2019年5月18日14:00/ヤマハスタジアム
ジュビロ磐田の大井健太郎がケガから復帰したあと2試合連続でセンターバックとしてフル出場し、チーム全体を臨機応変にコントロールするとともに守備の安定をもたらしている。
浦和レッズ戦(〇1-0)は粘りのある守備を貫き、アディショナルタイムのロドリゲスの決勝弾につなげた。FC東京戦(●0-1)では久保建英のボレーに沈んだものの、逆にこれまでになく主導権を握り、チームとして相手を押し込むことに成功した。
開幕の松本山雅FC戦(△1-1)で先発フル出場を果たしたが、その後、右内側ハムストリングス肉離れもあり戦線から離脱。復帰した浦和戦でさっそく連敗を3で止めるとともに、4試合ぶりの勝点3をもたらした。
チームを外から見守ってきた「8試合」。いったい何を感じてきて、どのように改善しようと考えたのか――。
大井は「いろいろありましたけれどね」と静かに苦笑いを浮かべ、自身が最も心掛けたことを続けて言った。
「一番はみんなにストレスを与えずにサッカーをしてもらいたいと、そう思っていました。(上原)力也、(田口)泰士、(山田)大記……攻撃で力を発揮できる選手が守備だけになってしまうと、やはり、どうしてもつまらない感じでサッカーをするようになって、いいプレーが出ません。できる限り僕らが責任を負って、自分たちの前で彼らがプレーできるようにしてあげないといけませんね」
まずまずの改善は見られた。しかし、FC東京戦は負けた。まだ2勝3分6敗の15位と下位に沈む。このあとどう転ぶかは分からない――。
「すべてがそう上手くはいかないですが。ただ声を掛けるところでも、自分が声を掛けたほうが生きることもあるし、常にしゃべるようにしています。(FC東京戦では)オフサイドも取れていて、べた引きすぎることもなくできています。ラインコントロールする時もあれば、自分の判断でついていく時もあった。復帰から2試合、そこは上手くできています」
5月14日に35歳の誕生日を迎えた大井は、間違いなく磐田の大黒柱であり、漢とも言える存在であり、チームのあらゆる面を見抜く。そして、基本的にとても心優しいところもまた磐田らしいとも言えて、ファンからも熱いサポートを受ける。
磐田は18日、ホームで12節ベガルタ仙台戦を迎える。大井が開幕戦以来のホームのピッチに立つ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI