町田など悲願のJ1ランセンス取得。スタジアム基準「緩和」がポイントに

FC町田ゼルビアのサポーター。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

「規模」の見直しではなく「期間」の猶予で対応。

 Jリーグは9月27日、2020シーズンのJリーグクラブライセンス判定を発表し、新たにFC町田ゼルビア、鹿児島ユナイテッドFC、FC琉球の3クラブにJ1クラブライセンスを交付すると発表した。また、水戸ホーリーホックには昨年に続き、解除条件付きでJ1ライセンスが交付された。

 町田、鹿児島、琉球は「スタジアム及びトレーニング施設基準の例外適用申請」により、J1ライセンスを取得した。

 J1・J2基準のスタジアム収容可能数は、J1が1万5000人、J2が1万人と定められている。また、制裁を科され得るスタジアム基準として、屋根(スタジアムの3分の1以上)、トイレ数(1000人に対し様式トイレ5台、男性小便器8台)など条件が設けられている(他にも医務室、記者会見場が必須なども)。

 そうしたスタジアム基準を満たすため、改修の場合は4年、新スタジアム建設の場合は最大8年間の猶予が与えられることになった。

 町田はすでに改修工事を進めている。そして琉球と鹿児島は「新設」を条件に、今回、J1ライセンスが交付されたのだ。

 琉球と鹿児島に関しては、J1昇格を果たした場合、そこから3年目のシーズンに予算、場所、規模といった具体的なスタジアム計画を提示しなければならず、6年目のシーズン開始までに完成しているのが理想。この時点で工事が着工されることになれば、スタジアム完成まで最大8年間の猶予が与えられる。

 同様にトレーニング施設に関しても、3年以内に整備することが条件になる(J2ライセンスを取得できずにいるクラブは、スタジアムよりも、この練習施設の整備こそ最重要視すべき点と言えそうだ)。

 また、今後、地方を中心とする人口減が進むなか、J1、J2の画一的な入場可能数を柔軟に対応していくなど、ライセンス条件の見直しなどはあり得るのか。その質問に対し、Jリーグの青影宜典Jリーグ経営本部クラブ経営戦略部長兼ライセンスマネージャーは次のように語った。

「将来の過程については話ができませんが、今回の改訂については『期間』で対応することとなりました。これまではスタジアム自体がなければJ1ライセンスが交付されませんでしたが、今回は猶予期間を設け、その間、クラブも成長していく、ということです。

 その間、J1、J2昇格、J3入会と、各クラブ自身が経営上成長しながら、ファンと盛り上がりを作り、スタジアムの完成を待って、進んでいくことができます。一回昇格してから、そういった取り組みをしながら、スタジアムの完成を待つことに状況は変わっていくのではないかと思います」

 各クラブからはより高いスペックを求めるべきだ、あるいは収容可能人数は下げるべきだと、それぞれ意見が出ていたという。

 財政面やトレーニング施設の整備など、他にいくつもの条件をクリアする必要がある。そのなかで、これまで最も着目されてきたスタジアムに関しては、ざっくり言うならば、「必ず整備します」と宣言すればOKと、かなり柔軟になったのだ。

 もちろん、それは今回の琉球と鹿児島に限った話ではない。上位カテゴリーを目指す場合、そのクラブを取り巻く、圏域一体の「より具体的な『気運』」と「下支え」が重要になってくることも、その説明からは感じられた。

 基本的にライセンス制度は、クラブの財政健全化を図ることが一番の狙い。今回、「債務超過」「3シーズン以上の連続赤字」などライセンスを不交付とする前段階である「是正通達」を通達された該当クラブはゼロとなった。それも特筆すべき点に挙げられるだろう(ただし、まだ課題を抱えるクラブはあるということだ)。

 一方、ライセンス制度導入から8年、トイレ数に関しては全スタジアムで是正されたが、屋根なしのスタジアムはほとんど減らずにいる(2012年→24、2017年→21、2018年→23 ※ホームスタジアム申請が増えたことに伴うが増加している)。

 クラブ運営の財政健全化が進み、スタジアム規模の条件も緩和された。クラブライセンス制度がもたらした効果は大きく、今後は新たなフェーズに入り、観戦者のためのさまざまな環境改善が課題となってくるか。

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[取材・文:塚越 始]

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