【湘南】J1残留決定弾の舞台裏。松田天馬がクリスランに叫んだ「スルー!」
J1残留を確定させ、サポータに手を振って声援に応える湘南の松田天馬。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「サポーターの目の前で、恩返しをしたかった」
[J1参入PO決定戦] 湘南 1-1 徳島/2019年12月14日13:00/Shonan BMWスタジアム平塚
J1参入プレーオフ( PO )決定戦、湘南ベルマーレの松田天馬が執念の「J1残留決定弾」をねじ込んだ。
徳島ヴォルティスに1点リードを許して突入した後半、同点以上がJ1残留へのノルマであるホームチームはクリスランを投入する。すると、前線からのプレスが機能し、湘南らしい前から立ち向かっていくスタイルに持ち込む。
迎えた64分、左サイドから攻略する。鈴木冬一の縦パスからシャドーにポジションを移していた山﨑凌吾がクロスを放つ。クリスランが後方にそらし、そこに飛び込んだ松田が冷静に相手をかわして、左足でゴール隅にシュートを決めた。
松田は得点シーンを振り返る。
「クリス(クリスラン)がいいところに入ってくれて、『スルー!』と叫んで、反応してくれました。(後半開始からのクリスラン投入で)相手のラインも下がってくれたし、スペースが生まれて、自分としてはそこを使おうとして、前半よりもスムーズになり、やりやすかったです」
そのように、クリスランが松田の声に応えたことで、”あの”ゴールは決まったそうだ。
このBMWスタジアムで数々のインパクトを残してきた。湘南の18番が、今年最後の試合で、ホームに勝利をもたらすゴールをやっと決めることができた。
「サポーターの目の前で、恩返しをしたかった。J1に残すことができて、本当に嬉しいです」
そう安堵する松田だが、彼自身も、チームとしても、この結果には決して満足していない。
「(クラブとして)自信にはなりましたが、もう一歩成長しないと、上のレベルにはいけない。そこを来シーズン突き詰めていきたい。まだまだ成長していけるクラブだと思いますから」
「湘南ベルマーレ」になって初めて、J1のステージにて3年連続で戦えることになった。
もっと高みを目指していきたい。
164センチと小柄な24歳の技巧派ミッドフィルダーは、先を見据えていた。
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[取材・文:塚越 始]