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北野誠監督が女子サッカーに挑戦「タイトル、獲れる」。ノジマステラ新体制発足

新体制発表会に臨んだノジマステラ神奈川相模原の選手たちと北野誠監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

選手たちからは、「最初は怖そうなだったけれど…サッカーが面白い!」。

 東京オリンピックでのなでしこジャパン(日本女子代表)の代表枠18人を目指し、選手たちは残り5か月、懸命なアピール合戦を繰り広げる。

 そこを目指すための国内の舞台となるのがプレナスなでしこリーグだ。今シーズンは3月21日に開幕する。先日その開幕カードが発表された。

 2021年のプロリーグ化に向けても動き出し、日本女子サッカー界は東京五輪を境に大きな変化へと向かう。

 そのなかでノジマステラ神奈川相模原は、ロアッソ熊本、カマタマーレ讃岐、FC岐阜などで指揮を執った北野誠監督を招聘した。年々着実に力を付けるなか、初の主要タイトル奪取を目指して新シーズンをスタートさせた。

 昨季7位からの巻き返しを期すなか、北野監督は「まさか自分が女子サッカーに足を踏み入れるとは思っていなかった」と語る。現場か裏方か、新シーズンの仕事を思案中だったところ、ノジマステラから監督就任のオファーが届いた。

 北野新監督は、昨年末に韓国で行われた、なでしこジャパンが参戦したE-1東アジア選手権は見たという。話を聞くうちに心は決まった。やるならこのチームで必ず結果を出す――覚悟の就任だったという。

 あくまで個人的印象だと前置きをしたうえで、北野監督は興味深い指摘をした。就任決定後になでしこリーグ所属クラブの試合をチェックしてきたが、“女子だからこう戦うべき”というものが強すぎると感じたそうだ。

「どこチームも同じサッカーをしている。(日テレ・東京ヴェルディ)ベレーザを目指してやっている。女子だから、パス距離が狭い、だからそういうプレーをする。そうではなくて、違うサッカーをやれば、方法はある」

 指揮官はそのように自信を覗かせた。

 讃岐や岐阜を率いたJ2時代の北野監督は、耐えるべき時に耐え、劣勢であっても勝負どころを逃さない。そんなゲームをしてきた印象が強い。

 そういった経験がなでしこリーグでも活きると北野監督は確信している。

 昨季から引き続きキャプテンを務める石田みなみは、その変化に手応えを得る。

「パス一つをとっても、止め方一つ、プレスの仕方まで本当に一つ一つ伝えてくれます。細かいかもしれないですけど、本当に大事なことで、それが身に付いていけば、絶対にいいチームになると信じています」

 選手たちからは「北野監督は、最初は怖そうだと思ったけど、どんどん話しかけてくれるし、やるサッカーが面白い!」という声が聞かれる。

 まだ走り始めたばかりだが、チームの雰囲気は良い。チームが成長していくため、それがつながっていく日本女子サッカーが発展していく。ノジマステラはまさに挑戦的である。

「勝たせることはできると思います。タイトルを獲れると思います」

 北野監督は新体制発表の場で力強く誓った。

 確かにここ4、5年、日本女子サッカーは細かいパスを駆使したポゼッションサッカーが主流となってきた。これまで培ってきた粘り強く戦うノジマステラのスタイルが、新指揮官の熱い指導によって、どのように研磨され、化学反応を起こすのか。楽しみなシーズンになる。

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[取材・文:早草紀子]