【浦和】DF陣の目標は「走行距離12キロ」。槙野智章「ビルドアップにより加わっていきたい」
ノルマではなく、それぐらいの意識を持つようにと。昨季から振り子の針を、逆に振り切るように。
[ルヴァン杯 GS1節] 浦和 – 仙台/2020年2月16日14:00/埼玉スタジアム
「今シーズン、DF陣は1試合90分間で12キロ走ることを目指してほしい」
浦和レッズが2020シーズンの公式戦初戦となるルヴァンカップ・グループステージ1節のベガルタ仙台戦に臨む。大槻毅監督のもと、このプレシーズンは4-4-2の新システムにトライしてきたが、DF陣には指揮官からそんな指示であり要求が出たという。
つまりは守るだけではなく、攻撃にもアグレッシブに加わってほしいということだ。ざっくりしたところでフィールドプレーヤーの平均走行距離は9.5キロから11キロ台、13キロ台は非常に稀で昨季達成したのはトップ20人(回)のみだった。
走行距離はチームのスタイルにもより大きく変わる。また、セットプレーで両ゴール間を走ったり、キッカーがコーナーキックまで走ったりする距離も加わるため、あくまでも「参考値」と言える。そのうえで、11キロを超えてくると”結構走っている”、12キロ以上になると確かに”よく走った”という印象を受ける。
浦和で9シーズン目を迎えるDF槙野智章は次のように説明する。
「守備に攻撃に、それぐらい求められることが多くなっています。守備のみならず攻撃のところでも力を注いでほしい、と。決して12キロの数字を”達成しろ”とまでは言われていませんが、それぐらい意識を持つようにということです。なかなか(DF陣では)見られない数字でもあります。ビルドアップにも、より加わっていきたい」
そういった技術やパワーの”特長”を出していけるように、そして昨季からの脱却を図るためにも、強調されている点なのだろう。
ちなみに2019シーズン、1試合の最長走行距離(GKも交代選手も含む)は横浜F・マリノスの127.843キロで、6節の浦和レッズ戦で記録している。
チーム別の1試合平均走行距離を見ると、1位が横浜FMの116.6キロ、2位が湘南の115.0キロ、3位が大分の114.9キロだった。J1リーグのチーム平均値は112.138キロだった。
それに対し、浦和は14位の110.103キロ。
15位以下は、15位が鹿島アントラーズの109.878キロ、16位がFC東京の109.867キロ、17位がヴィッセル神戸の108.767キロ、18位が川崎フロンターレの108.747キロだった。
決して”走っているチームが勝っている”というわけではなかった。浦和、鹿島などはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)との大連戦があり、省エネに徹した時期もあった。
ただし走行距離が少ないチームの中で、浦和は最も順位が低い(14位)。走行距離も少ないいうえに、”走らされていた”距離も多かったと言える。
「DFも走行距離12キロ以上」と唱えるのは、そういった昨季の状況から、振り子の針を一度極端に逆に振り切る意味もある。
浦和が生まれ変わろうとしている。それはシステムだけではない。2020シーズン、そういったDF陣が主体性を持とうとする”姿勢”にも注目したい。
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[取材・文:塚越始]