高校総体中止、クラブユース延期…「続けることが大切」「発散する機会来る」Jリーガー島川俊郎、岩波拓也がエール
浦和の岩波拓也(左)、大分の島川俊郎(右)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「プロになれるかなれないか、選手にとって大きな分岐点になる大会」
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、この夏に開催予定だったU-15とU-18の日本クラブユース選手権の延期に続き、インターハイ(全国高校総体)の中止が決まった。インターハイは都道府県大会についても、いくつか中止の話も出ている。学年にかかわらず、進路に大きくかかわってくるイベントでもあり、選手へのダメージは大きい。中高の多くの3年生は、このまま試合をできずに部活動を終えるケースも出てくる。
そうしたなか柏U-18出身で、葛藤を乗り越えながら昨季、29歳にして自身J1最多22試合出場を記録した大分トリニータの島川俊郎は、次のように若き選手たちに自身の経験を重ねて語った。
「僕から言えるのは、辞めないこと。辞めずに本当にコツコツと続けていくことで見えてくるものは絶対にあります。それが数週間なのか、数か月なのか、何十年か掛かるのかもしれませんけど、続けることで見えてくるものがあるので、絶対にあきらめず、辞めず、続けていってほしいと思います」
島川は次のように自身のキャリアを振り返る。
「僕は何回も、何百回もサッカーをあきらめそうになって、サッカーを辞めたらどれだけ楽になるのだろうと、甘っちょろいけれど、そう考えたキツイ時期もありました。プロになってもまったく試合に出られず、JFL、J3と経験しました。ただ、あきらめなかったと言いますか、毎日、真剣にはサッカーと向き合ってきました。去年こうして再び試合をさせてもらい、やっとサッカーってこういうことなのかな? 自分の存在って、こういうことなのかな? と少しずつ見え始めてきました。でも、それは続けてこれたから、続けさせてもらえてきたから。あと言えるのは、僕は本当にいい出会いに恵まれてきて、そのお陰でもあると思っています」
一方、浦和レッズでプレーするリオ五輪代表DF岩波拓也は、夏のクラブユース選手権で活躍をしたあと、ヴィッセル神戸のトップチーム昇格の切符を掴み取っている。25歳のセンターバックは選手たちの思いを汲み、この思いを爆発させる機会は必ず来る、とエールを送った。
「僕もクラブユースがどうなるか分からないなど、いろいろな情報を耳にしています。あの大会は、プロになれるかなれないか、選手にとって、大きな分岐点になります。そういった大会がなくなるということになれば、辛いと思います」
そのように岩波は選手たちの思いを慮る。
「この状況が落ち着いてきたら、いろいろなアピールする場が必ずあるので、そこで溜めていたものを発散してもらいたいです。ここを乗り越えたら、チャンスはみんなに来ると思います」
岩波はそう語り、背中を押した。
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[取材・文:塚越 始]