夏のコロナ禍Jリーグ、夜開催で大丈夫?午前中開催はどうか!?村井チェアマンに訊く。無観客試合を回避するならば…
Jリーグの村井満チェアマン。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
昼間開催は難しいが――。今後の観客動員を考えると、試合開始時間は「新しい生活様式」で変化も。
Jリーグは5月19日に第5回理事会を開き、新型コロナウイルスの影響によりリーグ戦が中断するなか、現在の状況を確認するとともに新たな情報を共有し合った。今後は21日の政府による専門家会議の発表を受けて、22日にJリーグとNPB(プロ野球)合同による対策連絡会議、Jリーグの臨時実行委員会を実施。感染状況が全国的に改善に向かっていれば、その約1週間後の29日を目処に、具体的な再開日程が発表される。
理事会後に村井満チェアマンが各分野の担当者とともにオンラインでのメディアブリーフィングを実施した。今回は理事会で具体的な決定事項もなく、これまで報道されてきたことの確認や詳細に関しての質問、また意見交換的な場となった。
そのなかで、日程を今後詰めていくこのタイミングで、村井チェアマンに訊いてみた。「夏の午前中の開催」は検討に値しないだろうか? と。
このまま順調に行けば、真夏にJ1・J2リーグ再開、J3開幕を迎える。当面は無観客での開催が“有力視”される。ただ村井チェアマンはファンやサポーターを迎え入れての開催へのこだわりも見せる。
Jリーグが公表した「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン案」では、試合開催の4段階のフェーズが設定されている。
▼練習の4段階を経たあと、試合開催の4フェーズ(5~8段階)
▽試合開催
5 無観客
6 少数観客(強い制限)
7 観客数制限(緩和された制限)
8 通常開催
となると、夏場に観客を迎え入れ、試合を開催する可能性もある。観客を少しずつ増員していくことも考えられる。
J3やJ2の一部、またJ1リーグの北海道コンサドーレ札幌などは夏季も昼間に試合を開催してきた。ただ、基本的にこれまでのJリーグは、夏季のナイター開催が“常識”だった。
しかし新型コロナウイルスの感染が拡大したのは、特に都市部であれば夜間(の飲食店等のクラスターなど)が多かったことが、感染状況からも明らかになっている。
もちろん、サッカーは屋外で開催される。とはいえ、夜間に人が動くことになれば、選手のみならず試合にかかわる多くの人の感染リスクが高まる可能性も否定できない。
であれば、昼間……あるいは午前中の開催などの検討は? その問いに、村井チェアマンは「具体的な再開日程が確定しておらず、試合会場も特定されていない状況なので、今の段階で明確なことは申し上げられませんが」としたうえで、次のように答えた。
「まず、選手の健康を確保する(新型コロナウイルスの)感染防止の観点に加え、夏になると、選手の熱中症対策など、レギュレーションの中でも気温に対する飲水によるブレイクタイムをどれぐらい取るかなど、細かく設定されています。そう考えると、選手の健康管理上、まず夏場の日中はなるべく避けることになると思います。その前提のなかで、お客様をどのように安全に、ご案内するかというところが検討課題になってくると思います」
そのように現時点では夏季の「昼間」の開催はないという見解を示した。ただ、村井チェアマンは「いずれにしても、現時点において、開催時刻までは詳細を詰めてはいません。今後のテーマになってくると思います」と語った。
また、例えば無観客試合であれば、スタジアムをダウンサイズして開催することも選択肢に入ってくるのか? という質問もあった。村井チェアマンは「無観客試合の期間がここまで、と期間が決まっているわけではなく、そう考えると試合ごとに会場を変えることは難しいのではないかと考えています」と見解を示している。
ドイツ・ブンデスリーガは、クラブの存続にも関わるとして、明確に「放映権料のため」の再開であるとして、無観客での開催を早々に決断。試合開催時刻も、視聴者のため、従来通りに設定されている(6月30日までに全日程を終わらせる予定)。
Jリーグも無観客試合の開催を前提にするのであれば、夏期間はナイター開催で問題ないだろう。しかし観客を迎え入れようとするならば――果たして夏季のナイター開催が本当に得策なのか? 一考の余地はある。それこそ「新しい生活様式」につながってくるテーマだ。
午前中、さらに早い時間帯での開催は可能か。
もちろんDAZNやTVなどの放送にも関わってくる。ただ、以前に開催案として挙がったが、当面はホームのファン・サポーターのみしか動員できない可能性もある。となれば、むしろ、このコロナ禍、早い時間帯の開催を望むニーズも少なからずいる。そこもまた「コロナ前」とは、多くの人の意識や価値観が変わっている。
無論、世界のサッカーシーンの情勢や動向であり、ステークホルダーとのつながりもかかわってくる。ただ、新型コロナウイルスは、そういったこれまでのサッカー界の価値観や常識を揺さぶってきているのは確かだ。
「早朝(午前中)開催」はテストしてみる価値があるのではないか。試合を終えたあと、1日中、勝ったチームはオンラインによる様々なイベントの提供にもつなげられそうで、それもまた新たな楽しみの一つになりそうだが――。
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[取材・文:塚越 始]