【女子W杯招致撤退】東京五輪1年延期で「潮目が変わる」。日本サッカー協会がステイトメント発表

オンラインによる記者会見で女子W杯招致撤退を表明した日本サッカー協会の田嶋幸三会長。(C)SAKANOWA

女子サッカー普及・強化への尽力は変わらず。来年の東京五輪での成功にまず焦点を定める。

 日本サッカー協会(JFA)は6月22日に臨時理事会を開き、2023年の女子ワールドカップ(W杯)の招致活動から撤退すると決定した。

 オーストラリア&ニュージーランドの共催、コロンビアとの最終3候補に絞られ、25日に最終投票によって、開催地が最終決定する予定だった。ただJFAは当初から、FIFAがこれまで新たな地域での国際大会開催を推奨していたこと、ブラジルの撤退により南米票がコロンビアに一本化されたこと、アジア(AFC)のソリダリティを強めること、また東京オリンピックの1年延期で女子の国際大会が「2年後に開催される」という印象悪化――など状況を見極めて、最終投票の直前に撤退を表明した。田嶋幸三会長は特に新型コロナウイルスの影響による東京オリンピックが1年延期されたため、女子最高峰の大会が同じ国で2年後に開催されることへのFIFA加盟各国への心証悪化で「潮目が変わった」と語った。一方、女子サッカーの普及・強化への尽力は変わらず、まず来年の東京五輪での成功を最大の目標に掲げた。

 日本サッカー協会が発表したステイトメントは次の通り。

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公益財団法人
日本サッカー協会 

FIFA 女子ワールドカップ 2023 日本招致活動から撤退 

 公益財団法人 日本サッカー協会(JFA)は6月22日(月)、臨時理事会を開催し、開催国として立候補している2023年のFIFA女子ワールドカップの招致から撤退することを決定しました。 

 まずは、これまでの招致活動に多大なるご支援をいただいた政府、自治体、サッカーファミリー、ファン・サポーターの皆さまに心から感謝申し上げます。 

 6月25日(木)の FIFA カウンシルでの同大会開催地決定に向け、JFA ではさまざまな招致活動を行ってきました。2011年のFIFA女子ワールドカップドイツ優勝をはじめ、なでしこジャパン(日本女子代表)は、世界の公式国際大会で3大会連続の決勝進出を果たしています。

 それだけに今回、招致活動を行う中で、日本が女子サッカーの強豪国として世界から認められ、リーダーとして期待されていることをひしひしと感じました。また、この 20 年間で、2002年のFIFAワールドカップやFIFAクラブワールドカップをはじめ、数多くのFIFA大会を運営してきたことから、 日本の運営能力などを評価する声を多く聞くことができました。

 開催提案書に含まれた内容に加え、日本各地に建設された最新のサッカー専用スタジアムもまた、日本が招致活動を行っていく上で大きな推進力になったと考えています。 一方で、世界のサッカーファミリーがどのような視点で開催地決定の要素を考えるのか、その時で変わっていく状況を冷静に見極めていく必要があります。 

 世界的な女子サッカーの普及や発展ということは当然ですが、より多くの国で大規模大会の開催が可能となる共同開催が近年の世界のトレンドになりつつあります。また、6月8日にブラジルが立候補を取り下げたことが、南米サッカー連盟の票の一本化につながったのは自明の理であり、既にASEANサッカー連盟がオーストラリア/ニュージーランドへ の支持を表明するなど、他の大陸連盟にも大きな影響を与えることになっています。 

 こういった状況もあり、数多くのFIFA大会を開催してきた日本で女子ワールドカップを開催することは、世界的な普及や発展という観点から賛同を得にくいのではないかという根強い意見がありました。男子とは異なり、年齢制限のないチームで女子の世界一を決める大会は、FIFA女子ワールドカップとオリンピックの2つがあります。新型コロナウイルスの影響によってその女子サッカー最高峰を決める2つの大会が、短期間に同じ国で開催されることに対する抵抗感が強まったことも感じました。 

 6月10日に国際サッカー連盟(FIFA)より公表された評価報告書(Evaluation Report)では、日本の提案やサッカーを取り巻く環境を高く評価していただいたと考えています。一方で、オーストラリア/ニュージーランドが日本を上回る評価を得たことも冷静に判断する必要があります。 

 投票で同票だった場合には評価報告書のポイントで決定されるなど、客観的な評価も大きな要素になります。コロ ンビアやオーストラリア/ニュージーランドは、女子も含めた年齢制限のないFIFA大会の開催を経験していません。

 もし、南米や南半球初のFIFA女子ワールドカップとなれば、普及という観点でも非常に大きなアドバンテージとなります。

 このようなことを総合して考え、投票直前というタイミングであらゆることを分析すると、今回の招致レースにおける日本の状況は決して楽観視できるものではなく、さらに厳しい状況になっていると言わざるを得ません。

 今回予想される結果を冷静に見極めながら、今後、長期的な視点で日本のプレゼンスをいかに高めていくか、世界の女子サッカーをリードし、日本としてどのように世界に貢献をしていくのかを含め、戦略的に考え、実行していかなければなりません。 

 JFAは長年にわたり、指導者派遣なども含めてアジア全域での女子サッカーの普及に取り組むとともに、アジアの女 子サッカーを世界レベルに押し上げようと力を注いできました。今回、日本が招致から撤退することによってアジアの連帯を強固にし、アジア/オセアニア地域への招致の確率を高めることもアジアサッカーへの貢献であると考えます。最終的にオーストラリア/ニュージーランドが開催地に決まった場合、時差や環境面においても日本にとってなんら負担や支 障になることはなく、同大会で優勝を目指すなでしこジャパンへの大きなサポートにもつながるはずです。 

 2013年12月のJFA理事会において、2023年のFIFA女子ワールドカップの開催国として立候補することを決議して以来、東京オリンピックや女子プロリーグ設立とともに、この大会を起爆剤に女子の普及と発展を推し進めるべく取り組んできました。招致活動からの撤退は、JFA の招致委員会や理事会などで慎重に熟慮を重ねた上での決断です。 

 JFAの理念にある通り、私たちは、サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社 会の発展に貢献していく責務があります。 

 現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスによって日本のサッカー界も大きな影響を受けています。これ からも困窮しているサッカークラブなどへの財政的な支援などを継続し、サッカーファミリーが安全に楽しくサッカーができる 日常を取り戻していく必要があります。こうした活動やサッカー基盤の整備、SAMURAI BLUE(日本代表)へのサ ポートとともに、女子サッカー発展のために WEリーグ支援や普及活動にもより一層力を注ぎ、東京オリンピックでのメ ダル獲得、FIFA女子ワールドカップ2023優勝に向けてなでしこジャパンを全力でサポートしていく所存です。 

 サッカーファミリーやファン・サポーターの皆さまにはこの決定をご理解いただき、今後とも変わらぬご支援を賜りたく、お 願い申し上げます。 

公益財団法人 日本サッカー協会会長
FIFA 女子ワールドカップ
2023 日本招致委員会委員長
田嶋幸三 

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[文:サカノワ編集グループ]

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