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【川崎】中村憲剛の投入が「86分」だった理由。鬼木達監督が明かす

川崎の鬼木達監督。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

おや、まだか…。スタジアムも少しソワソワする。優勝決定の瞬間に向けた指揮官の思い。

[J1 29節] 川崎 5-0 G大阪/2020年11月25日18:30/等々力陸上競技場

 川崎フロンターレが11月25日、ガンバ大阪に家長昭博のハットトリックなど5-0の大勝を収めて、2年ぶり三度目のリーグ制覇を果たした。今季限りでの引退を発表している川崎のバンディエラ中村憲剛は86分から齋藤学とともに3、4枚目のカードで投入され、ピッチ上で歓喜の瞬間を迎えた。

 試合展開的には、FWレアンドロ・ダミアンが22分にダメージを与える先制点を叩き込み、家長が73分までにいずれもファインゴールでハットトリックを達成――。4-0とリードを広げたことで、選手たちがまさに中村の花道を用意するシチュエーションを作り出した。

 試合は終盤に突入。しかし83分の交代でも、中村は鬼木達監督から呼ばれない。おや、まだか。意外と時間ないぞ……。スタジアムにはそんな、少しソワソワする空気も漂った。

 鬼木監督がここで中村を起用しないはずはないが……。そして3分後、ウォームアップ中だった中村は声が掛かると、すぐ準備を整えて、齋藤とともにピッチに立った。そして何度もスペースに顔を出してチャンスに絡み、90分には齋藤のゴールも生まれた。

 なぜ、中村投入のタイミングが「86分」になったのか。鬼木監督は試合後の記者会見で、次のように説明した。

「点差がつき、いろんな選手を使いたい。同時に今日のゲーム、あそこまで引っ張り全力でやり続けてくれた選手の姿を見たら、少しでも長い間、ピッチに立たせてあげたい。その両方の思いがありました。どちらかを取るということではなくて、少しでも、良い形で(ピッチから)去る選手も良い形で交代させたかったですし、入る選手も良い状態で入れたかった。その両方の思いがあって、あのような形(時間帯)になりました」

 優勝の瞬間をどのような形で迎えるか。90+4分、最後のカードで脇坂泰斗が投入されたことを含めて、指揮官の様々な思いが詰まった、自身三度目の優勝決定に向けた交代策でもあった。

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[取材・文:塚越始]

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