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ワクチン接種の「生殖毒性」への懸念、専門家が見解。NPB・Jリーグ新型コロナ対策会議で

写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

特に若手選手から心配の声――。

 NPB(プロ野球)とJリーグ合同による第35回新型コロナウイルス対策連絡会議が7月5日に行われた。両リーグともにリーグ戦の折り返しを迎えるなか、全国の感染状況などを改めて把握するとともに(関東圏での新規感染者数の下げ止まり)、Jリーグからはワクチン接種の体制整備の報告が行われた。会議のあと、NPBの斉藤惇コミッショナー、Jリーグの村井満チェアマン、専門家チームの賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)、舘田一博氏(東邦大医学部)がオンラインによる合同会見を開いた。

 このなかでJリーグの村井満チェアマンはJリーグ各クラブへのワクチン接種が進んでいることを報告。そのうえで、次のように語った。

「希望する選手へのワクチン接種は進めていますが、一部選手の中には科学的、医療的な根拠に基づかない風評によって、接種を避ける方々がいないわけではありません。そうした意味で、専門家の先生方にワクチンの構造など基礎知識に関して解説していただくビデオを作成しました。接種前後のトレーニングの解説もしていただいています」

 Jリーグの選手会を通じて、そのビデオの視聴と接種を呼び掛けて、「次の段階」に進んでいきたいということだ。

 そうした“風評”について、三鴨氏は特に若手選手から将来的な「生殖毒性」について懸念する声が寄せられたという。その点について、次のように解説した。

「選手は基本的に若い方が多く、これからお子さんをもうけようということを考えておられ、そこでの影響はないのか、といわゆる『生殖毒性』を心配されている方が少なからずいます。個別に中日ドラゴンズの選手とお話をさせていただく機会もありました。そこで丁寧に説明しました」

 ワクチンの効果や構造を考えると、そのリスクは低いということだ。三鴨氏は続ける。

「確かに科学的なエビデンスがなく100パーセントを私は否定できませんが、理論的に考えると、その可能性は低いという話をさせていただいています。選手それぞれお考えを持っておられるのは事実で、しっかり説明させてもらうことで接種率が上がります。村井チェアマンの音頭でビデオを作成されたのは極めて有効だと思います。それにやはり社会的なインフルエンサーである選手たちがワクチン接種を済ませ、発信されると影響力も大きいでしょう。私も豊田スタジアムでの名古屋グランパス戦を観戦してきました。そういった効果を期待しています」

 その専門家によるビデオが別競技の選手たち、あるいは一般にも公開されるのか。あるいは選手とコラボした一般向けのビデオも作成されるのか。そういったワクチン接種普及への次なるステップにも注目したい。

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[文:サカノワ編集グループ]

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