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【栃木】豊田陽平が記者会見「J1昇格へ一生懸命プレーした、あの頃の鳥栖を思い起こさせる」

加入記者会見で決意を語った栃木の豊田陽平。協力:栃木SC

大きかった山口慶強化部長の存在。背番号「31」に込めた家族を背負う思いとは――。

 J1リーグサガン鳥栖からJ2リーグ栃木SCに完全移籍したFW豊田陽平が7月8日、オンラインによる記者会見を行った。36歳の元日本代表ストライカーは「まだまだ輝ける」と自信を漲らせ、鳥栖がJ1へと這い上がっていった時と似た飢餓感を覚え、力になって栃木を引き上げたいと意欲を示した。

 背番号は「31」に決定。三人の子供と奥さんを支えたい。そんな思いを込めた。

「しっかりトレーニングできれば、まだまだ輝けるという思いはあります。自分でその火を消す必要はないと思っていた時、(名古屋グランパス時代のチームメイトだった)山口慶先輩(栃木強化部長)から話をいただき、長くサガン鳥栖にいたこともあったので時間をもらってよく考え、『このままでは終われない』という思いに至り、移籍を決めました」

 レジェンドとして鳥栖で戦い続ける。それも、もちろん選択肢として選べる。ただ、ゼロからの環境でガムシャラにボールを追いかけ、勝利のために貢献する。その“闘う”姿を見せることこそが、自分の存在価値ではないかと今一度考えた。

 そして豊田は栃木の“野心”に魅力を感じたという。

「僕が鳥栖に加入してから、一生懸命J1へ上がるためプレーしていた、あの頃のサガン鳥栖を思い起こさせるようなところがあります。決してクラブ的に規模は大きくありませんが、しっかり上を目指す野心を感じます。そして僕が選手として、人として大切にしているのは、人を大事にすること。栃木は人を大事にするクラブだと感じました。チームメイトも当初の鳥栖のような、ひたむきで素直で向上心ある若い選手が多いなか、僕の経験も生きて、僕自身ももっと向上できるチームだと思っています」

 現在はJ2リーグの17位に低迷している。ここから這い上がらせる。そのミッションに、豊田は大きなやり甲斐を感じる。もちろん、そこには競争も待っている。

「まず試合に出場して、自分の持っているものを出して、パワーをもたらしたり、少ないチャンスをものにしたり、しっかり貢献することがまず大事。FWから守備をすることをスタイルとして大切にしていることも知っていますし、僕は十二分に貢献できるはずです」

 矢野貴章との2トップ形成もあり得る。ハマれば逆襲も十分に狙える。最前線に立ち続けてきた生粋のストライカーは、栃木の可能性とポテンシャルを高く買い、それを最大限に引き出す力になりたいと決意を示していた。

 ちなみに黄色いユニフォームは母校の星稜高校でも着ていた。原点回帰とも言える。

「クラブのホームページで(自分のユニフォーム姿を)見させていただいて、デザインを含め『格好いいな』と思いました。そういったところからも、『いける、大丈夫だ』と思いました」

 豊田は1985年4月11日生まれ、石川県出身の36歳。185センチ・79キロ。星稜高校を卒業後、名古屋グランパスに加入。その後、モンテディオ山形、京都サンガF.C.を経て、2012年、鳥栖に加入。韓国Kリーグ蔚山現代FCへの2018年の半年間の期限付き移籍を挟み、サガンで通算12シーズンプレーしてきた。今季J1リーグ3試合、ルヴァンカップ3試合に出場。2008年北京オリンピック日本代表。日本代表通算8試合・1得点。

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[文:塚越始]