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ロッカールームで名波監督が感じた逆転への萌芽「いちいち俺が何かを言うことではない。後半しっかり違ったメンタルで送り出せると感じた」松本2-1北九州

名波浩監督(2019年撮影)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

「誰かがちょっとここを抜けばいいやとか、この練習は楽だと思った瞬間――」

[J2 31節] 松本 2-1 北九州/2021年9月26日13:30/サンプロアルウィン

 J2リーグ残留争いへの重要な一戦、松本山雅FCが前半にミスから1失点を喫したものの、橋内優也と伊藤翔のゴールで、ギラヴァンツ北九州に2-1の逆転勝利を収めた。

 27分の失点は最終ラインとGKのパス交換の際、GK村山智彦がボールコントロールを誤り、そこを突かれ前川大河に決められたものだった。しかし松本の名波浩監督はハーフタイム、これでは終わらない……選手たちから逆転への萌芽を感じ取っていたと言う。

「村山が謝罪してロッカールームに入ってきて、そこで選手たちは『ムラさん、大丈夫』『ムラくん、絶対に逆転するから』と、試合に絡んでいる選手も、絡んでいない選手も、彼に寄って声を掛けてくれていました。そういうことで(そのミスについて)、いちいち俺が何かを言うことはないなと。しっかり後半、違ったメンタルでピッチに送り出せるなと感じました」

 その失点を招くに至ったチーム全体の課題を、名波監督は摘出。戦術的な改善を施していった。

「後ろ選択(ボールを下げてしまう)が多く、そこで(パスを選択したい時に)前が動けていないこと、またクリアボールが一山越えないために相手にいい位置で拾われまた守備をしなければいけないこと、そういうシーンが続いていたので改善しようとは一つ強く言いました。

 また、前線でもう少しハードにプレス行ってコースを限定し、ボランチエリアからサイドチェンジさせないように意識させました。それが功を奏したのか、相手の同サイドへのパスが増え、引っかけて奪えるシーンも増えました。後ろは安心して見ることができました」

 そのように実際、ピッチ上で課題が改善されていった。そこから逆転劇が生まれたのだ。

 そして指揮官は次のように、今後のポイントを挙げた。

「言っていることを継続することと、ピッチの中で選手たちがもっともっと要求し合って、自分たちがよくなる努力を全員で惜しまないこと。誰かがちょっとここを抜けばいいやとか、この練習は楽だと思った瞬間、トレーニング強度、局面の強度が下がってしまう。そういうことがないようにしていきたい。守備の締まった北九州、次の千葉に対し、鉢の一刺しさえ見せられないゲームでは情けないと思うので、そうならないように、しっかり準備したいと思います」

「選手たちの表情を見ても、まだまだ茨の道が続くのは分かっていると伝わってきます。この苦しい台所事情でも、ちゃんとグループでの一体感を持って、この流れに乗っていきたいです」

 そのように名波監督はこの1勝で得た大きなものを自信にして、まっすぐ前を見据えていた。

 松本は次節32節10月4日14時から、10位のジェフユナイテッド市原・千葉とアウェーで対戦する。

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[文:サカノワ編集グループ]

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