【指導者の視点】 三笘薫ともう一人…サッカーの「目的」を体現していた2人のアタッカー。日本代表、W杯アジア最終予選オマーン戦
オマーン戦で決勝点をアシストした日本代表の三笘薫。(C)JFA
三笘のドリブル、そしてオフ・ザ・ボールの動きが秀逸だったのは――。
[W杯アジア最終予選 B組 第6戦] オマーン 0-1 日本/2021年11月16日20:00(日本時間17日1:00)/Sultan Qaboos Stadium
オマーン戦の前半と後半、試合内容はガラリと一変した。その要因は様々だが、試合を観ていて当たり前のことだが、改めてふと考えさせられたことがあった。
「サッカーの目的とは何か? なんのために、どうプレーするのか?」
一番の目的は「試合に勝つこと」。勝つためには「相手よりも多く得点を取ること」が必要になる。
得点を奪うためには、相手のゴールにボールを入れなければならない。
チームとしても個人としても、この目的の達成のため、シュートを打つ、ドリブルを仕掛ける、パスを出す&受けるなどの方法を駆使していく。
前半と後半で、この“目的”を軸に見比べた時、圧倒的に後半のほうが、目的達成のためのアクション(方法)をしていることが分かる。
後半から入った三笘薫が象徴的だった。
ドリブルを駆使し、相手が守り難い状況を作り出していった。三笘のドリブルは、純粋にゴールを奪うためであり、ゴールにより近づくために仕掛けられていた。そして相手により警戒され、2〜3人で対応されるようになる。
突破の威力に加え、相手を引き寄せる効果も大きかった。決勝点のアシストは、その延長線上にあった。
もう一人、“目的”に対し明確にプレーしていたのが古橋亨梧だ。彼は三笘と違い、オフ・ザ・ボールの動きで相手に脅威を与えていた。
そのプレーはゴールに直結する背後への動き出しであった。一瞬のタイミングを見逃さず何度も動き出し、相手が対応せざるを得ない状況を作っていたのだ。
直接彼の走るスペースにボールが出てくるシーンは少なかったが、相手のラインを押し下げて、ライン間に味方のスペースを作り出して、攻撃を活性化させた。
システム、戦術、選手起用法……様々な要素がサッカーの試合にはあり、いずれも重要だ。このような要素について論じられることは多いのだが、「目的」は何か、目的から逆算して、どのような方法を選択するのか。シンプルに考えることもまた大切である。当たり前になりがちであるが、とても重要なことを改めて考えさせられた後半の45分間だった。
【著者プロフィール】
佐川祐樹(さがわゆうき)
1992年4月25日生まれ。広島県出身。広島大学大学院時に指導者キャリアをスタート。広島皆実高校サッカー部コーチ、広島修道大学サッカー部監督を経て、2018〜2020シーズンの3年間、FC今治のU-14コーチを担当。元日本代表監督でFC今治オーナーの岡田武史さんから「OKADA Method」を学び、原理原則やプレーモデルを大切にする育成法を学ぶ。現在は、山口市役所で勤務しながら山口県のサッカーに携わっている。
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[文:サカノワ編集グループ]