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「愛のある監督。負けても抱き合える」本田はハリルを慕っていた…あれから2年

日本代表のハリルホジッチ前監督 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

もしもワールドカップで負けても――そこまで見据えて。

 2年前に遡る。そこから少なからず心変わりはあったに違いない。

 5月14日のNHK放送『プロフェッショナル 仕事の流儀』での本田圭佑(パチューカ)が発した日本代表ハリルホジッチ前監督に対する「『服従』することは『恥』」発言が波紋を広げている。

 ただ本田はハリルホジッチ前監督の就任から約1年が経った2016年3月29日、FIFAワールドカップ・ロシア大会アジア2次予選のシリア戦後、次のように言っていた。

 A代表通算100試合出場を果たした岡崎慎司を心を込めてたたえる姿勢など、”海外で闘う”ハリルに自身も重ね合わせ、そのスタンスを慕っていた。

「僕が好きなのは(岡崎に対する)(ハリルホジッチ)監督の対応。僕もベテランと呼ばれる域になってきて、日本では良くも悪くもベテランの選手は大事にされなくなってくる。サッカー界だけでなく、新しいものが持ち上げられ、またそれで飽きたら新しいほうへと関心が移っていく。でも、ミーティングでも、監督からはオカへの決定的なリスペクトを感じた。褒め殺すぐらい、偉業を称えていた。日本の管理職には見られない対応だった」

 そのうえで、本田はハリルとワールドカップを戦いたいと誓っていたのだ。

「部下に尊敬される、愛のある監督。結局は、ワールドカップの3試合で結果を残さないと、評価してもらえない。でも、この監督のもとであれば、たとえ(本番で)負けたとしても抱き合える。最後まで闘える集団を作れるのではないかと思う」

 そのように本田はロシアの本大会で仮に全敗に終わっても、「抱き合える」指揮官だと言っていたのだ。

 もちろん、その後、本田は先発の座から外れる時期が続いた。そこで、彼とハリルホジッチ氏にどのようなことが起きたかは分からない。ただ、当時、それが本田の本音であったのは間違いない。

 本田を代表に呼ぶべきだ、という論調にするつもりはない。そういう事実があったことを伝えておきたい。

 現在、完全に”悪者”の立場になってしまった本田だが、ハリルホジッチ前監督と本音でぶつかり合ってきた間柄でもある。そういった前提(過去)があっての今回の発言であったことには留意したい。

 もちろん一方で、北京五輪代表のとき以来、こうして本田が指揮官の戦い方に疑問をぶつけたあと、チームが良い方向には行かず、敗れてきたのもまた変えられない事実。いずれにせよ、今回のハリル氏(日本代表)への発言により、日本代表の西野朗監督は難しい判断を迫られることになった。

 5月18日に発表される日本代表候補の他選手に及ぶ影響は気になる。もしも招集されたならば、本田は西野監督を含め全員に、その発言について説明すべきだろう。そして今回の本田発言をハリルホジッチ前監督がどのように受け止めるのか。それも聞いてみたいところだ。

取材・文:塚越始
text Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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