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大島僚太の明本考浩へのチャージはDOGSOで一発退場が妥当、ノーファウル判定は「明白な間違い」「VARが介入すべきだった」。JFA審判委員会が開幕前に説明│FUJI FILM SUPER CUP 浦和 2-0 川崎

川崎の大島僚太。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

審判団のファウル見落とし、主審の判断が尊重さたがゆえのVAR不介入、と複数の欠落が「ミス」につながる。

[FUJI FILM SUPER CUP] 川崎 0-2 浦和/2022年2月12日13:35/日産スタジアム

 今週末のJリーグ開幕を控え、日本サッカー協会(JFA)は2月16日、メディアを対象に判定基準のスタンダード説明会を実施した。JFA審判委員会副委員長・JFA審判マネジャー(全体統括)の扇谷健司氏、JFA審判マネジャー(Jリーグ担当統括)の東城穣氏がプロフェッショナルレフェリーを交え、詳しく昨季の状況などを紹介しながら詳しく解説をした。

 そのなかで、リーグ開幕に先駆けて行われた12日の「FUJI FILM SUPER CUP 2022」浦和レッズ対川崎フロンターレ戦の75分、ゴール前へ抜け出した明本考浩が後方から追ってきた大島僚太に腕を掴まれたもののノーファウルと判定された場面について、DOGSO(決定機阻止)にあたると説明があった。扇谷氏は「議論を呼ぶ判定だったと思います」「これは決定的な得点機の阻止としてファウルを取るべきだったと認識しています」と語った。

 むしろこの機会に、選手が“倒れた・倒れない”で判定基準がブレることはない、それが影響を与えてはいけないとも強調した。

「せっかくJリーグが築き上げてきたものが崩れかねないとも認識しています。開幕前にこうしてお伝えすることで、『激しく、フェアで、エキサイティング』なリーグをともに目指そうと、もう一度再確認したいです」

 扇谷氏はこのシーンについて次のように解説し、主審に対しても言葉を送っていた。

「これは決定的な得点機会の阻止にあたり、(大島の)ファウルを取り、退場(レッドカード)にすべきシーンでした。開幕前の非常に大事なシーンであり、選手やクラブの皆さんにも、こういった場合は決定機阻止にあたると理解していただきたいと思っています。

(主審について)もちろんフィールド上でベストを尽くした結果、判定できなかったと理解しています。こうした経験をもって、よりよいレフェリーになってほしいと思います。とはいえ客観的に見た場合、このシーンは決定的な得点機会だった、とファウルを取るべき事象でした」

 また、主審はアドバンテージを見ていたのではなく、あくまでもノーファウルと判断していたという説明もあった。

「もちろんレフェリーは笛を吹く前にいろいろ考え、どこまでプレーを戻して確認するかと考えることもできます。ただ、それがアドバンテージかというと、認識は少し異なります。反則されたチームが利益を得られなかった場合には、その点(振り返ってのファウル)がジャッジされるべきでした」

 ファンの一番の関心事は、なぜVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入しなかった? なぜ主審にDOGSOではなかったかと確認を進言しなかったのか?

 これについては、主審が目の前でプレーを見ていたため、その判断が尊重されて、VARは介入しなかったということだ。ただし扇谷氏は次のように説明した。

「VARが介入すべきだったと思います。これは例えレフェリーがいいポジションで見ていたとしても、(VARが介入すべき条件の一つである)やはり『明白な間違い』に近かったと理解しています。月曜日にはこの試合を審判員とも振り返り、VARが介入すべきだったと確認しています」

 つまり今回のシーン、主審をはじめ審判団のファウルの見落とし、そして主審の判断が尊重さたがゆえのVAR不介入、と続いて「ミス」が生じたということだ。複数の欠落が重なった時、大きなミスが起きる。いろいろ面に共通して言えることだが、開幕前、その事実を改めて再認識させられる機会にもなった。

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[取材・文:塚越始]

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