【浦和】名古屋戦で再開、「重心」はどこに置くのか。岩尾憲が語っていた二つの課題
浦和の岩尾憲。(Photo by Pakawich Damrongkiattisak/Getty Images)
ポイントを前に置いた福岡戦はシュート数12本対3本と主導権を握り続けた。継続か、一旦戻すのか、中庸を見出すのか。
[J1 17節] 浦和 – 名古屋/2022年6月18日19:00/埼玉スタジアム2002
浦和レッズは6月18日、ホームでの名古屋グランパス戦でインターナショナルマッチウィークの中断明けのリーグ再開初戦を迎える。
5月28日に行われたアウェーでのアビスパ福岡戦はスコアレスドローに終わり、リーグ戦は9試合勝ち星なしに。この試合後の取材対応は選手一人ひとりに記者が話を聞けるミックスゾーン対応で、岩尾憲が具体的な二つの課題を語ってくれた。そのあたりがどこまでクリアになったのか。名古屋戦で確認したい点だ。
再開前は後方から数的優位を作っていくものの、肝心のゴール前に人数をかけられない。相手ボランチの構えるラインを突破できても、ファイナルサードで個の打開頼みになる。そんな事象が続いた。
福岡戦では、より前目に重心(ポイント)を置いて打開していく、チーム全体の意図が感じられた。そこから明本考浩のポストを叩く決定機も生まれ、シュート数も12本対3本と大きく上回った。
9試合勝利なしの間、“あとはゴールを決めるだけ”というコメントを、選手とリカルド・ロドリゲス監督から何度も耳にしてきた。
それだけが問題ではないのでは? と感じる時もあった。ただ福岡戦に関しては、駆け付けたサポーターから試合後に温かい拍手が送られていたことからも伝わるように、これまでと異なる戦闘的な姿勢が感じられた。リスク管理が徹底されているが、結果的に後ろ重心=守備的になってしまう“負けない”戦いとは異なっていた。
岩尾も“ゴール”を何より意識していたと言った。
「点がとにかくほしいので、自分も持ち場がありますが、チャンスだと思えばその持ち場を離れてでもボックス内に入って行こうとしました。前節もそこは狙っていましたが、さらに増やしたいと意識していました。ただ僕自身もですが、シュートを打つシーンが、いい形で作れていない。そこはまたみんなで解決していきたいです」
徳島ヴォルティス時代、リカルド・ロドリゲス監督のリスクマネジメントは徹底されていた。中央でボールを奪われてカウンターを食らうことを避けるため、基本的にはサイドから崩していく。そして垣田裕暉らをターゲットに崩す。そこにディテールも加味され、その再現性がハマったことで、2019年のJ1・J2入れ替え戦決勝進出、2020年のJ1リーグ昇格という重大ミッションを成し遂げた。
ただJ1リーグでは、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスとゴールを徹底的に奪っていく、というチームの優勝が続いている(ACLは逆の傾向にあるのがまた厄介だが)。そして個のクオリティであり、何よりプレー強度が格段に異なるところで、指揮官も選手も試行錯誤を続けている。
前線の意思疎通が欠けている。そのあたりについて岩尾は「誰かが悪いとか、あいつが回してくれないと思うのであれば会話する必要があると思います。それは僕ら後ろの選手も協力しなければいけないし、前の選手だけの責任ではありません。チームとしてどのように解決していくかは大きな課題だと思います」と語っていた。
福岡戦は、意図的にこれまでよりもリスクを掛けていくスタンスで、ゴールに迫れた。この中断期間、「今までやってきたことに何かを積み重ねるというより、コンセプトの復習に取り組み、全員が同じ考えのもと基準を合わせることに時間をかけています」と、リカルド監督は説明していた。
そのうえで、福岡戦のように重心を前目に設定するのか、さらにリスクをかけるのか、あるいは一旦以前のように戻すのか、その中庸を見出そうとするのか――。もちろん対戦相手によって異なる要素もあるが、ゴール前に守備ブロックをしっかり固め、しかも前線のタレントが充実する名古屋相手に、後半戦の試金石となる「1勝」を掴みたい。
[取材・文:塚越始]
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