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【指導者の視点】クロアチアの特長と弱点を検証。モドリッチの新たな脅威、スペイン・ドイツと似て非なる4-3-3の打開策は!?

ベルギー戦でのクロアチア代表MFルカ・モドリッチ。(Photo by Michael Steele/Getty Images)

ロシア大会では、ほぼモドリッチを経由していた。今大会、中盤の全体のレベルが上がったことで――。

[カタールW杯 ラウンド16] 日本代表 – クロアチア代表 /2022年12月5日18:00(日本時間6日0:00)/アル・ジャヌーブ・スタジアム

 カタール・ワールドカップ(W杯)ラウンド16、日本代表が日本時間12月5日24時(6日午前零時)から、W杯初のベスト8進出を懸けてクロアチア代表と対戦する。

 今回は元日本代表監督でFC今治オーナーの岡田武史氏から「OKADA Method」を学び、FC今治の育成年代のコーチを務めた経験のある著者が、Q&A形式で、クロアチアの特長と弱点を検証。ベルギー戦などをスカウティングしたうえで、“日本勝利”へのキーポイントを整理する。

Q ドイツとスペインは選手の特徴が大きく異なるものの、チームとして狙っていたコンセプトが似ていた。さらにクロアチアも4-3-3(4-1-4-1)のシステムを採用しているが、どのあたりが同じで、どのあたりが異なるか。

A ボール保持率を高めて攻撃的に敵陣に向かっていく、チームとしての狙いはドイツ、スペインと相通じるものがある。中盤3枚(ルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチ、マルセロ・ブロゾビッチ)のクオリティの高さは、ドイツ、スペインと比較しても全く引けを取らず、世界トップレベルと言える。

 日本戦でのクロアチアはボールを保持し、しかも積極的に仕掛けてくる時間が長くなると予想される。日本はグループステージで勝利した2試合と基本的には同じような共有意識で、粘り強い守備から、前線のタレントのスピードと技術を活用したカウンターが最も得策になるだろう。相手にとって、日本人選手の俊敏性や勤勉さが最大限に活かされるプレッシングからのショートカウンターは、対策をしていてもミスにつながるなど脅威になっている。

 ドイツ、スペインと比べて、チーム全体で見た選手のクオリティは、若干劣る。ポゼッションにやや難のある最終ラインへのプレスなど、日本の戦い方はより有効に作用すると考えられる。

Q ドイツ、スペインはパスサッカーの遅攻が主体で、「ストライカー不在(ドイツはニクラス・フュルクルクを投入すると別チームに変わり、スペインはフェラン・トーレスの起用が遅かった)」が、結果的に日本にも少なからずプラスに働いた。クロアチアはそのあたり異なると感じるか? ウインガーにタレントを置くところは、やはり似ている?

A ウインガーにキーマンがいて打開を図る点で、ドイツ、スペインと似ている。ベルギー戦での基本的なボールの経路を見ると、中盤の3枚が、相手を中央に引き寄せ、ファイナルサードではストライカーよりウイングにボールを入れる回数が多くなっていた。

 そのウイングの突破力が強烈であると恐ろしい攻撃になるが、ベルギー戦では、そこまでの脅威を感じなかった。対峙する日本のサイドバック(ウイングバック)は、グループステージでの経験が、ここでより生きるのではないか。

Q そのなかで37歳になった英雄ルカ・モドリッチの役割は? 「衰え」や「穴」は?

A 年齢的な衰えは少なからずあるだろうが、スペイン1部リーグのレアル・マドリードやここまでのワールドカップで見せているパフォーマンスを考えても、今なお世界トップクラスのにあり、「穴」は見当たらない。

 4年前に準優勝したロシアW杯でのクロアチアは、ほぼモドリッチを経由していた印象が強く残っている。現在のチームはその依存度が下がり、一方コバチッチやブロゾビッチが台頭し、“モドリッチを抑えればなんとかなる”状況ではなくなっている。

 むしろトップレベルの選手が増え、マークも分散されている。そのためモドリッチが危険な位置で、より重要な役割を担える機会も増えている。日本としては、最大限に注意を払わなければいけない一人だ。

【著者プロフィール】
佐川祐樹(さがわゆうき)
1992年4月25日生まれ。広島県出身。広島大学大学院時に指導者キャリアをスタート。広島皆実高校サッカー部コーチ、広島修道大学サッカー部監督を経て、2018〜2020シーズンの3年間、FC今治のU-14コーチを担当。元日本代表監督でFC今治オーナーの岡田武史さんから「OKADA Method」を学び、原理原則やプレーモデルを大切にする育成法を学ぶ。現在は、山口市役所で勤務しながら山口県のサッカーに携わっている。

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