「メンタルかそれ以外か」覚醒を予感させる鈴木武蔵に、高木監督が厳しくも熱いメッセージ
V・ファーレン長崎の鈴木武蔵。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
ポスト直撃弾。単なる”惜しい”ではなく、指揮官は「やはり何かが足りないということ」。
[J1 20節] 浦和 0-0 長崎/2018年8月5日/埼玉スタジアム2002
V・ファーレン長崎のFW鈴木武蔵が浦和レッズ戦、ポスト直撃の惜しいシュートを放ったが、結局、無得点に終わった。今季これまでリーグ17試合に出場してシーズン自己最多5ゴールを記録。ただし最近は5試合連続でスタメン起用されているが得点を奪えずにいる。リオ五輪で1得点を決めた24歳のストライカーは覚醒の予感を再び漂わせているが――果たして、ここから突き抜けられるか。
高木琢也監督は浦和戦後の記者会見で、鈴木のプレーについて次のように言及した。
「(鈴木)武蔵はゴール前まで持ち込める回数が増え、あとは最後のフィニッシュというところが課題になっています。まあ……周りにプラスになってしまうので、詳しくは言えませんが、彼には『相手と駆け引きをしなさい』と最近よく言っています。
そのなかで、今日のシュートがポストを直撃したシーン。彼のゴールへ向かう姿勢を見ていて、『これは入ったな』と思いました。
しかし、外れた。やはり、ちょっと何かが足りないということ。
そこで少し考えたのですが、彼の技術が一気にすぐ上手くなるわけではありません。であれば、あとはメンタルになるのか。3本打って入らなければ、5本。6本打とう、と。そういうことを常に彼に言っています。しかし、もしかすると、もう少し異なるアプローチをしなければいけないのかもしれません」
鈴木も「そういった面を教えてくれるのは今までの監督とは違います」と、日本代表でエースも務めた(国際Aマッチ44試合27得点)高木監督から得るものは多いと言う。「このチームで結果を残すだけ。タッパ(身長)があってスピードがあるFWは同世代にはあまりいないので、そこでオリジナルな選手になっていくことは大事だと思っています」と、周囲の期待を受け止める。
確かに高木監督が言う「駆け引き」のところで、鈴木はあらゆる局面でギリギリを突こうとしているプレーが目立つ。もちろんプロなのだから、その数十センチ、数センチが勝負を分ける世界と言える。今回の対戦相手には西川周作や槙野智章ら代表クラスが揃っていただけに、なおさらだ。
ただ、あまりに「ギリギリのプレー」にこだわりすぎて――今回のポスト直撃弾のようにー―結果を残せていない印象も受ける。そこは、実は紙一重ではなく、根本的な考え方(メンタルになるのか)にかかわってくるかもしれない。数センチの間隙を狙うのではなく、もっとふてぶてしく真ん中(寄り)を突いていっていいケースもあるのではないか。
昨今は多くの選手に、ディテールの重要性が説かれる。その中で、鈴木に関してはむしろ大局的な、相手を呑み込むぐらいのスケールの大きなプレーこそが求められているのかもしれない。
文:サカノワ編集グループ