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水戸-長崎の疑惑PK判定に社長が怒り。しかし過程に課題も、競技規則上は妥当…むしろ正当なジャッジが下された

(C)SAKANOWA

下平監督と話して判定変更したような印象になったのは課題。スタジアムにいたホーリーホックのファン・サポーターの怒りは理解できるが…。

[J2 18節] 水戸 2-3 長崎/2024年6月2日14:03/ケーズデンキスタジアム水戸

 J2リーグ18節の水戸ホーリーホック対V・ファーレン長崎の一戦、2-2で迎えた後半アディショナルタイムのラストプレー、マテウス・ジェズスがペナルティエリア内で反転した際、前田椋介のスライディングタックルを受けた。ボールはクリアされて、スローインに。榎本一慶主審はまず正当なタックルであると判定したが、その後、5分以上かけて中断。すると第四審などの助言を受けて、主審は前田のファウルにより長崎へPKを与える判定に変更。これをフアンマ・デルガドが決めて、長崎が最後の最後に3-2の勝利を収めた。

 水戸の小島耕社長は6月5日、サッカー有料情報サイトに掲載した無料記事でこの件に言及。「各メディアで報じられているようにラストプレーでの審判団の判断を下すプロセスについて、PKを取られた側の水戸ホーリーホックには受け入れ難く感じました。クラブとしては運営規則に則り、JFA審判委員会にて検証いただけるようリーグに働きかけをしています」として、この判定を問題視している。

 ただし、果たして「プロセス」に問題はあったのだろうか。「競技規則」上、試合が再開されたあと判定の変更はできないと明記されている。つまりリスタートされるまで、審判団はその間のインプレーで起きていた事象の判定について検証できる。

 今回一旦、主審が長崎ボールのスローインと指示した。しかしそのプレーは再開されていない。改めて情報などを整理し、主審が最終的なジャッジを下した、この「プロセス」に、競技規則上の問題はない。

 確かに前田のタックルはボールに触れているようで、そのあと、残った左足で後ろから挟み込む形になり、ジェズスを倒してしまっている。主審が見ていた目前のプレーに、後方からチェックしていた第四審の情報も加えれられ、PKと判定された。判定自体は正しかったと言っていいだろう。

 水戸の不満も理解できる。当初、主審はペナルティスポットを差しかけたものの、ボールがクリアされたことでスローインの判定に。主審は倒れた前田の状態にも気を配っている。

 そのあと主審は、猛抗議する長崎の下平隆宏監督に”ノーファウル”であることを説明に行った。しかしこのあと第四審が見ていた情報が伝えられて、主審が前田のファウルに変更し、最終的な判定を下した。

 特にスタジアムにいた水戸を応援するファン・サポーターからすると、主審から場内への説明がないため、「下平監督と話をして判定が変わった」というように受け止められかねないシチュエーションだった。そのあたりは課題になるだろう(まず先に審判団で情報共有するのが理想的だったか)。

 主審は限られた時間の中で、最終的なジャッジを下さなければいけない。JFA審判委員会は、重要な判定を下す瞬間、覆す際など、「プレッシャーのかかるなか、非常に勇気のいる決断を下すことになる」と説明している。今回、長崎の監督と話したあとに判定が覆ったという印象を残したのは課題だが(これももちろん結果論だが)、競技規則上は問題がなく、むしろジェズスへの前田のファウルは「妥当」であり、最終的には間違いのないジャッジが下されたと言えた。

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 それぞれの立場によって捉え方、主張は変わってくる。ただ同社長の「運営規則に則り、JFA審判委員会にて検証していただきたい」というやや一方的な主張(ジャッジ自体が問題なかった点は踏まえたい)は、審判員の立場を危うくする可能性も含まれ、JFAやJリーグは逆に直接説明するなど、何かしらの対応も求められそうだ。