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【鳥栖】J1リーグ13年の歴史。トーレス、豊田陽平、ユン・ジョンファン…ついに降格決定

フェルナンド・トーレスの鳥栖加入が決定!2018年7月の写真です。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

近年は金明輝 元監督のトップ・育成組織へのパワハラ、約20億円の赤字などネガティブな話題も。

 J1リーグのサガン鳥栖が10月19日、約80分間を数的優位で戦いながら京都サンガF.C.に0-2で敗れ、今季18位以下が確定。2012年からJ1のステージで戦ってきたが、来季のJ2降格が決まった。

 佐賀県の小さな都市である鳥栖市からJ1昇格を果たし、駅前にサッカー専用スタジアムがあるという環境で、九州を代表するクラブチームとして戦ってきた。アビスパ福岡が昇降格を繰り返すなか、さまざまな魅力も見せ付けながら、13年という長きにわたって国内トップリーグで、クラブとしての個性も発揮していった。

 ユン・ジョンファン体制2年目の2012年にJ1初昇格を果たした。豊田陽平が最前線に立ち、2列目はキム・ミヌ、池田圭、水沼宏太という顔触れ。三部練習が組まれ、朝は標高約2000メートルの朝日山への全力のマラソン(現代風にいうとトレイルランニングか)が組まれ、ハードワークでは絶対に負けないという自信と誇りを身に付けていった。12年からリーグ戦5位・天皇杯ベスト4(リーグ12位)・リーグ5位と結果を残す。

 タイトル獲得への希望は膨らみ、現実味を増していった。一方、赤字も徐々に増えていき、2014年でユン・ジョンファン監督も退任した。

 その後は停滞期に入る。ただし、その手腕が評価される永井隆幸強化部長のもと、常に移籍の噂があったエース豊田の引き留めに成功し、J1で戦い続ける。

 そこから強化や経営体制が変わっていくなか、金崎夢生、フェルナンド・トーレスが参戦。再び脚光を浴びた鳥栖は、Jリーグの”主役”を担っていくかとも思われた。

 しかし2019年、約20億円の赤字計上が明らかになる。追い打ちをかけるようにコロナ禍に突入し、経営面はさらなる打撃を受ける。そしてフロントの刷新、地元佐賀や鳥栖市からのサポートを受ける形になっていき、債務超過解消へ積極的な補強はできなくなっていった。

 また金明輝元監督によるトップチーム・育成組織の選手、さらにスタッフへのパワハラも明らかになる。その公開された情報は、目と耳を覆いたくなるようなものばかりだった。鳥栖が大切にしてきたものが、失われていった時期でもあった。

 一方、2020年度には鳥栖U-18がクラブユース選手権で初優勝を果たす。育成組織が機能しつつあるところに未来は感じられた。ただし有望株がすぐ海外などに移籍するなど、現代の流れに抗えず、思うようにトップチームの強化につなげられずにいる(Jリーグ全体の問題でもあるが)。

 川井健太前体制下では、ビルドアップ重視のスタイルに転換していった。そして鳥栖が蓄積してきたハードワークの”財産”がある間は、その新スタイルとの融合により、再びJ1リーグで存在感を示していった。が、より川井カラーが強まっていくと、徹底して走る・闘うという鳥栖らしさが失われていき、結果も伴わなくなってしまう。さらにスター不在とあって以前のような”刺激”を与えられず、観客数までも大幅に落ち込んでいった。

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 特長と武器を見失い、魅力も失った鳥栖は立ち返るべき場所がなかった。そういった意味でも、J1昇格時の主力だった木谷公亮監督のもと再建を図ったが、夏に多くの主力が移籍していったことも影響し、就任後、なんと一度も勝てないまま降格が決定した。

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