【浦和】現地発│まさかここで伏線回収…。インテル戦ラストプレー、GK西川の攻撃参加をスコルジャ監督が認めず。クラブW杯グループステージ2連敗で敗退
インテル戦で声援を送った浦和のサポーター。 (Photo by Justin Setterfield - FIFA/FIFA via Getty Images)
モンテレイ戦以降、日本でのカップ戦でもテーマに。
[米国クラブW杯 E組 GS2節] 浦和 1–2 インテル/2025年6月22日4:00(現地21日12:00)/ルーメン・フィールド(シアトル)
クラブ・ワールドカップ(クラブW杯)グループステージ(GS)第2戦、浦和レッズはインテル・ミラノに渡邊凌磨のゴールで先制したものの、78分にエースのラウタロ・マルティネス、90+2分にバレンティン・カルボーニにゴールを決められ1-2の逆転負けを喫し、今大会2連敗でGS敗退が決定した。
ラストプレーだった。
90+2分に逆転された浦和だが、最後に渡邊のフリーキックをGKヤン・ゾマーがクリアし、コーナーキックのチャンスを得た。
1-2の1点差。アディショナルタイムは4分。ちょうどその4分に突入しようとしていた。
誰の目にも明らかなラストプレーだった。
浦和のターゲットは、ゴールを決めること。ただそれだけだ。GK西川周作が守る必要はない。
そして西川がベンチに攻撃参加するべきか視線を送って、確認する。しかし、マチェイ・スコルジャ監督は西川の攻撃参加を認めなかった。
高さのあるチアゴ・サンタナも投入し、これまで練習してきた“従来”のコーナーキックでのゴール攻略を目指した。渡邊のキックはファーにわたり、原口元気が中央に折り返す。そのセカンドボールを関根貴大がボレーで合わせたが、シュートは大きく枠を外れた。
ここで試合終了を迎えた。
スコルジャ監督は前迫雅人にセットプレーを任せ(守備対応は塩田仁史GKコーチ)、これまでデザインされたセットプレーからJ1リーグでも得点をもたらしてきた。
しかし、このクラブW杯の土壇場、失点のリスクを考慮する必要はほぼなく、数的優位を作れるうえに相手を混乱させられる。チームとして、GKのスクランブルでの攻撃参加というシチュエーションを準備していなかったのだ。
要因は明らかだ。思い起こされたのが2023年のリーグ戦のホーム最終32節のヴィッセル神戸戦だった。
90+5分、4分前に1-1に追い付いた浦和のフリーキックのチャンス。逆転優勝するためには勝利しかなく、GK西川はスコルジャ監督の制止を振り切って攻撃参加した。すると、中島翔哉のキックが阻まれて、そこから神戸の見事なカウンターから大迫勇也に無人のゴールへの決勝弾を決められた(本来はオフサイドだったが……)。
あの2023年の大ギャンブル失敗がなければ、今回、西川は攻撃参加していただろう。まさか、ここで、あの件が伏線回収されるとは。
浦和はインテル相手に勝点1を奪えれば、最終戦にGS突破の望みをつなげられた。負ければ、クラブW杯の敗退が決まる。
そのラストプレーのコーナーキック。ここでGKが攻撃参加しなければ、いつするのか。
しかし、あの一件があったために、ゴールキーパーの攻撃参加については、チームでも触れられずに来たことが分かる。また、昨季、浦和は天皇杯に出場しておらず、ルヴァンカップも早々の3回戦で敗れており、スコルジャ監督のもとGKを前線に加えるべきセットプレーを想定する機会もなかった。
浦和は6月25日(日本時間26日)、CFモンテレイと対戦する。同様とはなり得ないが、アディショナルタイムでゴールがほしいというシチュエーションが訪れることは想定される。
さらには日本に戻ったあと、浦和は天皇杯とルヴァンカップで、いずれもトーナメント戦に臨む。ノックアウトステージで、そのようにスクランブルでGKが攻めるべきシーンは訪れるかもしれない。
もちろん、そこでもスコルジャ監督がそもそも“普段通り”に練ったセットプレーでのゴール攻略を優先するべきだと考えているかもしれない。そこはチーム内で選手・スタッフがしっかり議論すべきだ。
負けたら終わり。何としてでもゴールがほしかった、クラブW杯でのコーナーキックのラストプレー。そこでGKが攻撃に加わらず、結局、あと1点が足りなかった。
原口元気、松尾佑介らほとんどの選手が今大会、相手の嫌がることを徹底できるかをポイントに挙げていた。その意思はチーム内で共有できていた。
GK西川がゴール前に加われば、少なからずインテルは動揺したはずだ。そのセットプレーの仕込みもできたはずで、ゴールの確率も上がっていた。大分トリニータのユース時代など公式戦でゴールを決めている西川の攻撃力を生かす絶好の機会と言えた。
スコルジャ監督は選手たちの勝利への執念の最大値、勝点獲得への最大限の可能性を引き出せなかった。スタッフ陣はその事実に向き合うべきだ。
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将来いつそのようなチャンスがあるかは分からない。浦和が西川でありGKが攻撃参加して試合を動かす。この一件の、ここからまた次なるストーリーが待っているとも信じたい。