【なでしこ】W杯優勝へ――アメリカに完敗、その裏にある収穫。“日本対策”をどう超えるか
アメリカ女子代表との3連戦・第3戦に臨んだなでしこジャパン(日本女子代表)。写真:早草紀子(C)Noriko HAYAKUSA
3連戦は1勝2敗、より米国が真剣に立ち向かってきた第3戦は0-3
アメリカの修正力が一枚上だった。1勝1敗で迎えた3連戦の最終戦は、セットプレーから2点、自陣のミスを突いたカウンターから1点を奪われた。なでしこジャパンは、対策をピッチに落とし込んできたアメリカに0-3の完敗を喫した。
アメリカは日本の守備の綻びを冷徹に狙い、網を張り巡らせていた。この内容は、今後各国が採用するであろう「日本対策」の基準になる。日本はこの包囲網をさらに上回る回答を提示し続けなければならない。
しかし、結果は完敗であっても、この3連戦で得た収穫は確かにある。
まずは組織的な守備だ。相手監督もリスペクトを示したように、可変しながら機能する守備はこの1年で明確に積み上がってきた。狩野倫久監督代行が掲げた「自由に蹴らせず、相手の判断を奪う」狙いにアメリカをハメ込む場面は随所に見られた。
一方、ビルドアップの質には課題が残る。司令塔の長谷川唯は「全員が角度を速く作り、味方を助けるプレーをしないと繋ぐことは難しい」と、個々のポジショニングの徹底を説く。2023年の女子ワールドカップ以降、海外に渡った選手たちが個の基準を引き上げ、チームとしての連動も成熟しつつある。その「個と組織」の融合が、世界最強のアメリカに対しても一定の脅威を与えたのは事実だ。
皮肉なのは、この成熟した形が示されてきたのが、指揮官交代という激震のタイミングだったことだ。
今回の現地入り直後、選手たちの間には「またゼロからのやり直しか」という戸惑いがあった。今回暫定ではあるとはいえ監督の信頼を得るために戦う選手にとって、この時期の体制変更はフィジカル以上の負荷となる。しかし、いざ試合が始まればその空気は消えた。そこにあったのは、この1年の歩みを証明しようとする選手たちの強い意志だ。
熊谷紗希は「この状況で全員が同じ目標に向かってアクションできたことは成果」と振り返り、長谷川も「次に繋がる遠征になった」と前を向く。過酷な移動と中2日の強行軍、そして指揮官不在という不安定な状況下でも、彼女たちは自分たちの立ち位置を見失わなかった。
アメリカに届かなかった事実は変わらない。しかし、その差はもはや曖昧なものではなく、具体的に克服すべき課題として浮き彫りになった。
決して、この1年は無駄ではなかった。
目標は来年のFIFAブラジル女子ワールドカップ(女子W杯)での優勝――。敗戦の悔しさとともに刻まれたその確信が、新生なでしこジャパンが進むべき道を照らしている。
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