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【なでしこ】ちふれ2部逆転優勝へ希望「心に突き刺さる」5ゴール!

2ゴールを決めたちふれの木﨑あおい。競り合う深澤里沙(左)。写真:早草紀子/(C)Noriko HJAYAKUSA

オルカ戦、河野朱里と木﨑あおい2ゴール、上辻佑実は鮮烈のロングを決める!11日は大和シルフィード戦。

[なでしこ2部 12節] ちふれ 5-1 オルカ/2020年10月4日/NACK5スタジアム

 なでしこリーグ2部は12節を終えて、勝点7差に6チームがひしめく大混戦になっている。

 そのなかで来年秋開幕のWEリーグへの参入を希望するちふれASエルフェン狭山が10月4日、2位につけていたオルカ鴨川FCに5-1の快勝を収めてみせた。ちふれは11日に大和シルフィード、オルカは同日にニッパツ横浜FCシーガルズと対戦する。

 ちふれは今季、菅澤大我監督の就任2年目を迎える。東京ヴェルディ、名古屋グランパスエイト、京都サンガ、ジェフユナイテッド市原・千葉、ロアッソ熊本などの育成年代を指導してきた“育てる”ことに定評のある指揮官だ。

 昨季は菅澤監督の目指すサッカーをなかなか体現できず、選手たちは苦しんだ。ただシーズン最後の皇后杯、全員で同じ絵を描けた。結果、準決勝まで勝ち進み、女王の日テレ・ベレーザ(当時)と延長戦まで渡り合った。そこで惜敗したものの、彼女たちは大きな高揚感を得る機会となった。

 守備の要・木下栞は「すごく頭を使うんです。今までしてきたこととは180度違うのが大我さんのサッカー」、長野風花は「これまでみたいに直感で動くのではなく、相手をよく見てプレーできるようになった」とそれぞれ好感触を掴み、この2020シーズンを迎えた。

 菅澤監督のスタイルで2部優勝を狙う――。それが彼女たちの想いだった。

 8月29日の7節・バニーズ京都SC戦(〇2-1)では、元なでしこジャパン(日本女子代表)の荒川恵理子が40歳304日のなでしこリーグ最年長ゴール記録を更新する明るいニュースを届けた。しかし10節から連敗を喫して5位に……。踏ん張りどころだった12節、オルカに対し、ちふれの攻撃がホームで爆発した。

 近賀ゆかりに先制点を決められたあとの23分、河野朱里のゴールで追い付く。すると後半、鬱憤を晴らすかのような怒涛のゴールラッシュを披露。河野が2点目、さらに木﨑あおいも2ゴール、 上辻佑実は鮮烈のロングシュートを決めて、5-1で勝利を収めた。

 ちふれの決定機を生み出す要素に“逆を取る”動きがある。2点目の河野のゴールは、高野紗季がクロスを上げる際、4人がゴール前に走り込んでいた。ただそのクロスが跳ね返されたが、その4人の動きでゴール前の集団の後ろにポッカリと空いたスペースで、河野がボールを拾う。そこから攻め、決めてみせたのだ。

 攻撃のスイッチを入れ、もう一つ別のスイッチも入っている。菅澤監督のサッカーを「頭を使う」と表現していた選手たちは、その思考をプレーに移す時間の短縮に取り組んでいる。この5ゴールには、その成果と勝利への執念が込められているように感じられた。

 薊理絵はなでしこリーグ通算250試合を達成した。そして記念に花を添えるこの大勝劇に、「みんなのシュートが心に突き刺さりました」と語った言葉はとても印象的だった。

 この勝利でちふれは4位に浮上した。残り6節、首位のスフィーダ世田谷FCとの勝点差は「6」。悲願の優勝に向けて、さらに勢いづき突き抜けていけるか――。

鮮やかなロングシュートを決めた上辻佑実(28番)を中心に歓喜の輪が広がる。(右から)2ゴールの高野紗希、上辻、西澤日菜乃、木下栞。写真:早草紀子/(C)Noriko HJAYAKUSA
オルカの鶴見綾香。写真:早草紀子/(C)Noriko HJAYAKUSA
ちふれのGK浅野菜摘。写真:早草紀子/(C)Noriko HJAYAKUSA
ガンちゃんは健在。ちふれの荒川恵理子は途中出場でリーグ最年長出場記録を更新。写真:早草紀子/(C)Noriko HJAYAKUSA
なでしこリーグ通算250試合出場を達成した薊理絵(左)が、キャプテンの高野紗希からオリジナル記念Tシャツを受け取る。写真:早草紀子/(C)Noriko HJAYAKUSA

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[取材・文・写真:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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