ポルト監督が“中島翔哉問題”の真相激白「ナカジマは技術的にそそられるがサッカーは…」
中島翔哉。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
「ペペや(シャンセル)ムベンバと同じような仕事をする必要はありません」
ポルトガル1部リーグ、FCポルトのセルジオ・コンセイソン監督がついに“中島翔哉問題”について語った。2019-20シーズン、新型コロナウイルスの影響による中断明け、現地報道によると家庭の事情により練習への合流が遅れると、その後、指揮官が中島の合流を拒否。結局、シーズン再開後、中島はチームに加わることは一度もなかった。一方、クラブはリーグ、カップ戦の2冠を制した。
新シーズンに向けてチームが始動した後も中島は合流せず、移籍の噂も浮上……。憶測が憶測を呼ぶ状況のなか、8月31日、中島がついにチームの全体練習に合流。クラブもその様子をSNSで伝えた。
ポルトガルのラジオ局『ラディオ・ルナセンサ』によると、セルジオ・コンセイソン監督は同国メディア『オ・ジョゴ』のインタビューで、今回の「中島復帰」について言及。チームからの後押しを受けての決定であり、「彼が今ここにいるのは、素晴らしいワーキンググループのお陰だ」と語っている。
指揮官によると、集団活動の原則には「コミットメント」(=忠誠、献身)があり、その点で「彼は心理的に苦しむことになった」と言う。また、「チームメイトとともに練習しなければ、同じレベルに引き上げることができません」と、練習への合流を認めた背景を明かしている。
そのうえで「ナカジマは技術的にそそられるが、サッカーはそれだけではない」と指摘。一方、セルジオ・コンセイソン監督は中島への期待も口にしている。
「中島は誰もが持ち得ることができないような存在感を備えています。そのコミットメントとともにフィールドの中で仕事をすべきです。中島がペペや(シャンセル)ムベンバと同じような仕事をする必要はありません。彼がチーム内で仕事をして、技術的なクオリティを提供してくれれば、とても良いことです」
「それができなければ、普段プレーしている選手のレベルを下げてしまうことに成りかねません。規律を守ることが勝利につながります。チャンピオンになるには、規律を守ることが必要です。その原則を前提とした選手が最も重要です」
2017年からチームを率いる監督は、そのように“勝つための集団”に加わるための条件を強調している。勝利してこそ賞賛を浴び、誰もが等しく喜ぶことができる――というスタンスだ。
欧州の中では“トップ・オブ・トップ”ではないが、コンスタントにポルトガル国内でもUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも結果を残し、誰もが知るクラブとして君臨してきた。もちろん今回の件は指揮官(ポルトの下部組織出身、トップチームでもプレー)の個人的な考えも多分に影響している感じでもあるが、ある意味、どのようにポルトが生き残り、勝ち続けてきたのか。クラブの根源的な一部を知る機会になったかもしれない。
もちろん、サッカーはまず楽しむことが大切だと常に公言してきた中島がポルトの10番を背負い、クラブや監督のそうした「コミットメント」を受け入れたなかで、自己表現できるのかどうか。指揮官は彼の試合起用に関しては触れておらず、今後の起用法も気になるところだ。
とはいえ、まず中島のサッカー人生が再び動き出したことは、大きな前進だ。
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[文:サカノワ編集グループ]